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166.強がる兄の気持ち ページ16

「千寿郎、

 食事はしっかりと取れているか?」


「はい。」


「夕餉の様子を見ていて心配になってな。

 あまり箸が進んでいないようだった。」


 千寿郎は目に涙を浮かべ、堪えていた。


「泣いても良いのだぞ。」

「…にうえも…」

「ん?」


 千寿郎はこちらに顔を向けると、泣きながら俺に言った。


「…兄上も泣いて良いのですよっ!

 1番辛い思いをなさっているのでしょう…

 一人で悲しまないでください…!

 僕は兄の弟です…辛い時は二人で分け合いましょう…」


 顔をぐしゃぐしゃに涙で濡らしながら言う弟の優しさに

 心が救われた。


「ありがとう。心の優しい弟がいて、兄は幸せ者だ。」


 袖で優しく千寿郎の涙を拭った。

 

 千寿郎、君の言葉は本当に嬉しい。

 だが、どうか強がる兄の気持ちを今はそっと許して欲しい。

 許して…欲しい。



「…Aの話をしても良いか?」


「はい!聞きたいです…!

 兄上が知っているAさんのことを

 たくさん聞かせてください!」


「Aはな、本当に可愛いんだ!」


「はい!可愛らしい方ですよね!」


「笑い声を聞くだけでこちらが元気をもらえるのだ!

 怒った時なんかは下唇が突き出てな。

 その顔がものすごく愛らしくて堪らなくて、

 それが見たくて少々意地悪をしてしまうことも…

 それにとても照れ屋なんだ!すぐに頬を赤く染める!」


 千寿郎はにこにこと微笑みながら、

 俺の話を聞いてくれる。


「彼女は正直者だから、なんでも顔に出てしまうんだ。

 だから、嘘をついた時もすぐに分かる。」


「Aさん、素直な人ですからね。

 兄上はどうして嘘が分かるのですか?」


「彼女が嘘をつく時は、髪を耳にかける癖がある。

 本人はおそらく気がついていないがな!」


「そうでしたか!

 Aさんの好きな食べ物は何でしたか?」



「Aはな…」




 しばらく話をしていると、

 千寿郎は次第に瞼が重くなり、眠りについてしまった。

 その表情は安らかで、時折り笑みを浮かべている。


「おやすみ。幸せな夢をみてくれ。」






 暗く、静まり返った部屋の中、

 ふと天井を見上げて瞼を閉じると、

 彼女が亡くなる前夜の記憶がよみがえってきた。



 

167.心を燃やして→←165.兄の笑顔と父の心



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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - misakimiさん» 最後までお付き合いいただき、感謝申し上げます。主人公に感情移入し、物語に入ってもらってこそ、この小説の醍醐味と思い作っていたので、大変光栄です!あたたかいコメントにいつも励まされておりました。ありがとうございました! (7月16日 7時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 読了が遅くなりました。お疲れ様でした。長らく愉しませて頂きました。現し世でなくても、ハッピーエンドとは!こういう纏め方もあるのかと感心です。彼女の気持ちに入り込んでいたため、逢いたいけど早いよと涙しました。 (7月15日 16時) (レス) @page50 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 美桜さん» ありがとうございます!起承転結の「転」は恐らく読者様の予想を超えるものになってしまったかもしれません。しかし、美桜さんのように嬉しいお言葉をいただけると、作者として本当に幸せです♡最後まで読んでくださり、ありがとうございました! (7月10日 15時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - 完結おめでとうございます。途中思わぬ展開に驚きましたが、最後は悲しさもあるけれど、なんだか暖かな気持ちになりました。あとがきの狐姫様の言葉に色々と考えるきっかけになりました。次の作品も楽しみにしています。素敵な作品をありがとうございました♡ (7月8日 21時) (レス) @page50 id: 4bde5e03bb (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - エリスさん» エリスさん!感動したと言っていただき、大変光栄です♡完結まで書けたのも、エリスさんをはじめ、応援してくださる読者様のお陰です!感謝申し上げます!番外編、新作等でもまたお会いできると嬉しいです(*˙˘˙*) (7月8日 19時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年6月12日 13時

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