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164.揺れる百合 ページ14

 炎柱邸に戻った俺は、

 手にしていた百合の花束を花瓶に挿した。

「生きている間にもっと君に花を贈れば良かったな。」

 凛とまっすぐ咲く百合は、風に揺られて

 まるでAが首を振っているようだ。

「そうだな。後悔ばかり口にしていても仕方ないよな。」

 
 鬼となって消えてしまった彼女は骨さえも残らない。

 埋葬すらしてあげられなかった。


 俺は絵描きから貰った彼女の絵を広げて文机に飾った。

 良くできた絵だ。

 男は記憶を頼りに描いたというが、まるで写真のようで…


 幸せそうに微笑むA。

 可愛いな。本当に君は美しい。

 
「A、煉獄家へ行ってくる!

 千寿郎も君がいなくなって寂しがっているぞ!

 たまには夢で良いから…会いに行ってくれ。」


 
 煉獄家へ着くと、玄関に客人の靴が置いてあった。

 誰か来ているようだ。家へ上がろうとすると、

 一人の男性がこちらへやってきた。


「杏寿郎くん。久しぶりだね。」


「和尚さん!こんにちは!

 父に会いに来てくれたのですね!」


「少し話をできれば…と思ったけど、

 今日も追い返されてしまったよ。」


 和尚さんは、母が亡くなってから

 家に篭るようになった父を心配して、

 時々様子を見に来てくださる。


「父が大変失礼を。申し訳ないです。

 それでも気にかけてくださり、

 本当にありがとうございます!」


「ははは!良いんだよ!

 杏寿郎くん、君の話もいつだって聞くからね。

 一人で抱えずに周りの大人を頼りなさい。」


 肩に置かれた皺々の手は、

 とても温かくて安心するものだった。



 家に上がり、居間に向かうも千寿郎はいなかった。

 夕刻だから台所で夕餉の準備を始めたのだろうか?

 そう思い、炊事場へ向かった。


「千寿郎!ただいま戻った!」


「おかえりなさい!

 もうすぐご飯の支度ができますからお待ちください!

 あ!そういえば、兄上が出かけている間に

 甘露寺様がいらっしゃいましたよ!」


「甘露寺か!元気そうだったか?」


「はい!お菓子を持ってきてくださいましたので、

 食後にいただきましょうか。」


「そうだな!

 もう時期に柱合会議があるから、

 その時にお礼を伝えるとしよう!」



 


 先に湯浴みをして、夕餉を終えると、

 俺は千寿郎の部屋に布団を並べて敷いた。

 兄弟で寝るのは久しぶりだ。

 なんだか懐かしい気分になった。

165.兄の笑顔と父の心→←163.君がいる



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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - misakimiさん» 最後までお付き合いいただき、感謝申し上げます。主人公に感情移入し、物語に入ってもらってこそ、この小説の醍醐味と思い作っていたので、大変光栄です!あたたかいコメントにいつも励まされておりました。ありがとうございました! (7月16日 7時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 読了が遅くなりました。お疲れ様でした。長らく愉しませて頂きました。現し世でなくても、ハッピーエンドとは!こういう纏め方もあるのかと感心です。彼女の気持ちに入り込んでいたため、逢いたいけど早いよと涙しました。 (7月15日 16時) (レス) @page50 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 美桜さん» ありがとうございます!起承転結の「転」は恐らく読者様の予想を超えるものになってしまったかもしれません。しかし、美桜さんのように嬉しいお言葉をいただけると、作者として本当に幸せです♡最後まで読んでくださり、ありがとうございました! (7月10日 15時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - 完結おめでとうございます。途中思わぬ展開に驚きましたが、最後は悲しさもあるけれど、なんだか暖かな気持ちになりました。あとがきの狐姫様の言葉に色々と考えるきっかけになりました。次の作品も楽しみにしています。素敵な作品をありがとうございました♡ (7月8日 21時) (レス) @page50 id: 4bde5e03bb (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - エリスさん» エリスさん!感動したと言っていただき、大変光栄です♡完結まで書けたのも、エリスさんをはじめ、応援してくださる読者様のお陰です!感謝申し上げます!番外編、新作等でもまたお会いできると嬉しいです(*˙˘˙*) (7月8日 19時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年6月12日 13時

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