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137.想い合い ページ37

「…伊黒様!!ご無沙汰しております。

 階級(きのと)のAAです。」


「煉獄のところの隊士か。」


 伊黒様とは杏寿郎の屋敷で何度かお会いしたことがある。

 稽古をするためによく訪ねてくるので、世間話もしたことが

 あるのだが、彼はある一人の女性に夢中で他の女性には

 あまり関心がない様子。



「まだ居候しているのか?」


「あ…えっと…はい。」



 婚約する前の男女が一つ屋根の下に二人きりで住む…

 というのがあまり公に知られるわけにはいかなかったので

 私は家が台風の影響で住めなくなったから

 少しの間だけ住まわせてもらっていると話していた。




「そうか。…お似合いだと思うがな。

 アイツは真面目すぎるところがある。

 お前みたいな女がいれば…」



 伊黒様は何かを言いかけて口をつぐんだ。


「あ…!そういえば最近、

 蜜璃さんのご活躍をよく耳にします。

 柱になる前の頃より杏寿郎から彼女の才能の素晴らしさを

 聞いていましたので想像はできましたが…

 やはりすごいお方です。」



 私が蜜璃さんの名前を出した途端、

 伊黒様は耳を赤らめて俯いた。


 二人は両思いなのだ。

 蜜璃さんとは任務や稽古の合間にお茶をすることが

 時々あるのだが、彼女は決まって伊黒様の話をする。


 その顔は何とも恋する乙女で…


「蜜璃さんは可愛いです。」


「…知ってる。」



 伊黒様はそう言うと目に見えぬ速さで地に降りて

 湖畔沿いを歩き始めた。


 想い合っていることに、二人はまだ気づいていない。

 でも、それを私が教えるのはやっぱり違うような

 気がするから…



 私は黙って彼の背中を追いかけた。


「どうやら合同の任務のようだな。

 鬼の情報は入っているか?」


「はい。この湖畔を抜けた先に子どものような鬼が
 
 数多く目撃されています。」


 子ども…というのが何とも哀しい。

 どうして鬼なんかに…

 悔しい気持ちが込み上げてきて私は拳を握りしめた。


「子どもといえども鬼だ。変に情を入れるなよ。」


 彼の言葉に、力の入っていた手がピタリと止まった。

 頭では分かっている。分かっているのだけれど、

 鬼は人間が作り出した魔物…


「絶対に死なせない。」


「え…?」


 伊黒様は振り返ると優しい顔をして私に告げた。



「約束したのだ。

 もし、Aと任務を共にすることがあったら、

 必ず守ることを。」

 

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます!夜空に咲く花のシーンは、私自身お気に入りのシーンなので、そう言っていただけて、とても嬉しいです!ありがとうございます。 (2022年6月12日 20時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 夜空に咲く花を背にした二人の情景が浮かぶ綺麗な文章にも癒されました。 (2022年6月12日 18時) (レス) @page44 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - ストレートに伝えて下さる煉獄さんに、またまた癒やされました。本日もご馳走さまでございます! (2022年6月12日 18時) (レス) @page43 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - エリスさん» エリスさん、応援ありがとうございます!ずっと読んでくださっているだなんて感激です♡ 更新の励みになります!ぜひ、最後までお付き合いくださいませ。 (2022年5月5日 0時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - 第三弾おめでとうございます^ ^こっそりとずっと読んでます(笑)これからも応援してます! (2022年5月4日 23時) (レス) @page12 id: 8779dd4f89 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年4月27日 20時

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