124.存在を確かめるように ページ24
二人きりになった病室に
夏の始まりを告げるような
明るい日差しが差し込んだ。
私はベッドから身体を起こして彼を見つめる。
「杏寿郎…」
私が声をかけると、彼はどこか気恥ずかしそうに
頭をかきながら私の隣に腰を下ろした。
「助けてくれて、
それに一晩中付き添ってくれて本当にありがとう。」
「君に怪我を負わせてしまって申し訳なかったな。」
「いや、自分から飛び込んで負った怪我だから
杏寿郎が気にすることはないよ！」
杏寿郎はベッドから立ち上がり、私を抱きしめると、
聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で
「無事で良かった」と呟いた。
その抱擁はまるで存在を確かめるかのように
少し強い力で、私は思わず笑みをこぼした。
「ふふふ。杏寿郎、少し痛い。」
「す、すまないっ！」
力を緩めて少し離れると、
鼻と鼻が触れ合うほどの距離で…
彼の甘い瞳に誘われ、どちらからともなく唇を寄せる。
一度だけ触れた唇は、ゆっくりと私の元を去っていく。
私はそれを名残を惜しく焦がれた瞳で見つめていた。
杏寿郎はそれを察したのか、
「続きは屋敷に戻ってからだ。」
と、
その言葉に私の頬は急激に熱くなり、
彼に知られないようにと俯いた。
「A、どうした？
頬が赤いようだが…熱でもあるのか？」
杏寿郎はそう言うと、私の額に手を当てた。
チラリと彼の様子を伺うと、妖しい顔で微笑んでいて
まんまと彼の手のひらの上で転がされてしまったことに
気がついた。
「意地悪…」
「ははは！悪かった！そう拗ねるな。」
彼は私の頭を撫でると、お水をもらってくると言って
病室を後にした。
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読者の皆様へ
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
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同期二人の物語、今後どんな展開になっていくのか
引き続きお楽しみください！
2022.5.11 狐姫
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狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます！夜空に咲く花のシーンは、私自身お気に入りのシーンなので、そう言っていただけて、とても嬉しいです！ありがとうございます。 (2022年6月12日 20時) (
レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 夜空に咲く花を背にした二人の情景が浮かぶ綺麗な文章にも癒されました。 (2022年6月12日 18時) (レス) @page44 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - ストレートに伝えて下さる煉獄さんに、またまた癒やされました。本日もご馳走さまでございます! (2022年6月12日 18時) (レス) @page43 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - エリスさん» エリスさん、応援ありがとうございます！ずっと読んでくださっているだなんて感激です♡ 更新の励みになります！ぜひ、最後までお付き合いくださいませ。 (2022年5月5日 0時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - 第三弾おめでとうございます^ ^こっそりとずっと読んでます(笑)これからも応援してます！ (2022年5月4日 23時) (レス) @page12 id: 8779dd4f89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狐姫 | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/kohime_yume
作成日時：2022年4月27日 20時
