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116.純白の光と漆黒の闇 ページ16

〈花子 side〉



 賑やかな市街。


 私はAさんの指示の下、

 街中を歩き回って人々に声をかけていた。



「鬼?はははっ!

 お嬢ちゃん、それはただの噂話だろう?

 誰も信じないよ!」



「本当にいるんですからっ!

 見た人だっているんです!」



 明るい街灯や人々の笑う声

 こんな状況なのにどこを見渡しても出歩く人ばかり

 なんだろう…無性に苛立ちを覚える。



「旦那、鬼の話は本当らしいぞ。」


「ん?魚屋の三笠の親父さんじゃねぇーか!

 それはどういうことだ?」


 三笠の親父と呼ばれた人は、

 歳は60くらいで、白髭に大柄な体格をしていて

 いかにも威厳のある男といった感じだ。


「さっきここより北の方で、

 この少女と似た格好をした

 淡紅色の羽織を着た姉ちゃんが言ってたんだ。」

 

「それってあれだろう?狼の話だろう?

 そんなの襲われたやつが情けなくなって

 戯けたことを言っているだけだろうよ!」



 ほら、ダメだ…信じてもらえない。



「鬼は本当にいる。

 姉ちゃんの大切な人も目の前で鬼に襲われて死んだんだと。

 あのまっすぐな瞳で言われたら、さすがに嘘だとは

 思えなかった。あの子の話は不思議と信用できる。」



 Aさん、そんな過去があったんだ…



「そうかよ…

 そこまで言われたらな…それに三笠の親父が言うことだ!

 俺はアンタについていくって決めているからな!」



 三笠の親父はつり上げていた眉を少し下げた。



「俺たちも用心するように街中の奴らに声をかけるぞ。」


「よっしゃ!任せておけ!」



 先程までとは全然違う…



 脳裏にはAさんの微笑む顔が浮かんだ。




 ずるい…



 ずるい…




 私の好きな人も


 
 周りからの信頼も


 
 強さも、優しさも…





 私にはないものばかり手に入れていて








 ずるい…









 影は満月の明るい月夜では濃く深い漆黒に染まり、

 私を突き動かした。







 ドンッ





「おい!ちゃんと前見て歩けよな!」



 

 ぶつかってしまったのは酔っ払った若い男の二人組。









「あ、あの…」








 明るすぎる月は





 近くで懸命に輝く星をも見えなくしてしまう。

117.噂話→←115.仲間だから



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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます!夜空に咲く花のシーンは、私自身お気に入りのシーンなので、そう言っていただけて、とても嬉しいです!ありがとうございます。 (2022年6月12日 20時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 夜空に咲く花を背にした二人の情景が浮かぶ綺麗な文章にも癒されました。 (2022年6月12日 18時) (レス) @page44 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - ストレートに伝えて下さる煉獄さんに、またまた癒やされました。本日もご馳走さまでございます! (2022年6月12日 18時) (レス) @page43 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - エリスさん» エリスさん、応援ありがとうございます!ずっと読んでくださっているだなんて感激です♡ 更新の励みになります!ぜひ、最後までお付き合いくださいませ。 (2022年5月5日 0時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - 第三弾おめでとうございます^ ^こっそりとずっと読んでます(笑)これからも応援してます! (2022年5月4日 23時) (レス) @page12 id: 8779dd4f89 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年4月27日 20時

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