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112.何年も穿つ雫 ページ12

 杏寿郎に抱えられたまま


 相之助くんと花子さんが待つ崖の上に着くと、


 彼は私の顔を覗き込んで問うた。



「怪我はないか?」


「大丈夫。ありがとう。」



 抱えられたままの状況が恥ずかしくて…

 私は杏寿郎の胸元を軽く2回叩いた。



「もう、下ろしてくれて平気…!」


「そうか。君が無事で良かった。」




 地面に足を着けると、相之助くんが寄ってきて

 涙目ながらに心配してくれた。







「ずるい…」







「さあ、日が暮れる前に頂上へ向かおう!

 鬼が棲家から出てきたところで頸を斬る!」





 杏寿郎の言葉に3人で頷くと、

 彼が私に向けて手招きをした。

 


「A、少し良いか?」


「ん?」



「俺が1番後ろから行くから、君が先頭で登ってほしい。

 その方が何かあった時に俺が下から支えられる!」



 確かに悔しいけど力の差もあるから

 それがこの4人で登る方法としてはベストかも。



「了解。山頂が近くなったら合図を送るね。」



「うむ!」



 


 しばらく上を目指して登っていくと、

 なだらかな平地が広がった。

 


 しかし、なんだろう…少し不気味な感じがする。


 木々は枯れ果て、

 その大きな幹には鋭い爪のような痕がある。

 




「杏寿郎…」



「うむ。山頂よりもこの周辺かもしれん。

 田所少年、谷山少女、周囲を警戒するように!」



 

 平地を捜索していると枯れた草木で隠されたところに

 洞窟を見つけた。





 もうすぐ日が落ちる…



「杏寿郎、ここが怪しい。」



「今行く!田所少年たちは外で待機していてくれ!」



「御意。」

「煉獄様方はどうされるのですか?」



「俺はAとこの洞窟の中へ入る!

 中で討伐できれば1番なのだが、

 もしも外へと出ようものなら君たちにお願いしたい!


 俺は二人を信じている!」



「二人で行かれるのですか…」



 花子さんは俯いてそう一言だけ呟いた。



「できる限り洞窟の中で仕留めるためだからな!

 A、行くぞ!」



 私は頷くと杏寿郎に続いて洞窟の中へと入り込んだ。



 中は薄暗く、天井からはポタポタと雫が垂れ、


 その雫が地を穿ち、いくつもの小さな穴を作っている。




 私たちは背中合わせになると、

 どちらからともなく互いの小指を絡めた。








「君の背中は必ず俺が守る。

 二人でこの洞窟から出よう。」

 

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます!夜空に咲く花のシーンは、私自身お気に入りのシーンなので、そう言っていただけて、とても嬉しいです!ありがとうございます。 (2022年6月12日 20時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 夜空に咲く花を背にした二人の情景が浮かぶ綺麗な文章にも癒されました。 (2022年6月12日 18時) (レス) @page44 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - ストレートに伝えて下さる煉獄さんに、またまた癒やされました。本日もご馳走さまでございます! (2022年6月12日 18時) (レス) @page43 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - エリスさん» エリスさん、応援ありがとうございます!ずっと読んでくださっているだなんて感激です♡ 更新の励みになります!ぜひ、最後までお付き合いくださいませ。 (2022年5月5日 0時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - 第三弾おめでとうございます^ ^こっそりとずっと読んでます(笑)これからも応援してます! (2022年5月4日 23時) (レス) @page12 id: 8779dd4f89 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年4月27日 20時

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