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26.人の心を動かすのは ページ26

開いた襖から現れた人、



 私の命を救ってくれた"炎柱"だ。





 彼と目が合うと、その瞳が揺れた。




「お、お前…!!」




 私のこと、覚えていてくださっていた…?




「槇寿郎様、久方ぶりでございます。


 あの時助けていただいたこの命、


 ご恩を私は生涯忘れることはありません。


 それと、最終選別では杏寿郎にも救われました。


 私もあなた方のように…」




「やめろ…」



 え?



「鬼殺隊などやめろ…くだらない。」



「父上!」



「杏寿郎!お前もだ!」




 なぜそこまで鬼殺隊を続けることを否定するのだろう…



 閉ざされた心の闇はこんなにも深いのか。




 寄り添いたい。



 その痛みに寄り添いたい。



 彼は踵を返すと、


 褥に横になって私たちに背を向けた。




 その寂しげな背中に私は声をかける。





「槇寿郎様、私…見つけました。


 生きる意味を…


 時間はかかってしまったけど、


 自分のすべきことを見つけることができました。」




 私の言葉に返事はない。




 正解なんてきっとないのだと思う。


 
 でも、あなたに救ってもらったから


 杏寿郎が救ってくれたから


 私は自分の信じる道を進みたいと思う。





 深い哀しみで今は周りが見えずとも



 きっといつか光を浴びる日が来るから。



 それまでは支えていきたい。



 哀しみに溺れてしまわぬように…



 杏寿郎や千寿郎くんと共に



 そっとその手を繋ぎ止めていたい。




「お会いできて良かったです。失礼します。」





 襖を静かに閉めると、杏寿郎は私の肩に手を置いた。




「申し訳ないな。

 本当はもっと情熱のあるすごい人なんだ。

 父の無礼をどうか許してはくれないだろうか。」




「私は大丈夫だよ。

 槇寿郎さんが素晴らしい人なのは

 杏寿郎や千寿郎くんを見ればよく分かるから。」




「A…」




 私はそっと杏寿郎の小指に指を絡めた。




「支えていこう。」




「ありがとう。


 Aがいれば心強いな。」







 人の心を動かすのは人の心。




 

 
 槇寿郎様も私の人生において



 かけがえのない人だから




 もう一度その心に灯火を。

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - ハウンさん» ハウンさん、こちらこそお読みいただきありがとうございます!引き込まれると言ってくださり大変光栄です!続編も更新しましたので、引き継ぎお楽しみいただけるよう頑張りますね! (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、ありがとうございます!まっすぐな煉獄さんの深い愛情が表現できていれば…と思います。これからもそんな彼を言葉だけではなく、仕草や態度での表現ができるように努めたいところです! (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
ハウン(プロフ) - 素敵な作品を作っていただきありがとうございます!ものすごく感情移入してしまって胸が締め付けられるくらい引き込まれました!続編楽しみにしてます! (2022年2月28日 23時) (レス) id: 065a2165a6 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 今日も煉獄さんが素敵だ。押し付けがましいところは一切なく、ただただ彼女の幸せを願い笑顔を作れる彼は本当に素敵。 (2022年2月28日 21時) (レス) @page50 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» 彼はあまり内緒話など出来なさそうですよね(笑) 巧いだなんて言っていただけて…嬉しすぎて今夜は幸せな気持ちで眠れそうです〜!いつもありがとうございます。 (2022年2月26日 21時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年2月5日 21時

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