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21.うたた寝のあなたに ページ21

「稽古…」



「うむ!この前約束しただろう?」



 この前…


 あ!合同任務の時の帰り道か。



「分かった。今日は予定が空いているから大丈夫だよ!」



「そうか!それは良かった!」



 私は椅子にかけてあった割烹着を着ると、


 髪を束ねて桔梗の簪をさした。




「杏寿郎、朝餉は食べてきたの?」




「いや、実は食べ損ねてしまってな!」



 食べ損ねた…?


 お家で何かあったのかな。



「そうなんだ。


 私これからなんだけど、良かったら一緒にどう?」



 手を洗って杏寿郎の方を振り返ると、


 彼は嬉しそうに目を輝かせていた。



「良いのか?」



「ふふふ。

 一人で食べるより、二人で食べる方が美味しいし。

 あるものでしか作れないけど…」



 ご近所さんからもらったさつまいもを手にすると


 手際よく切り始めた。



「少し座って待っていて。」



「うむ。ありがとう。」




 絵画の中に入り込んだような静かな空間に


 食材を切る音だけが響く。



 鍋に味噌を溶かし、味見をする。



「うん…美味しい。」



 白米も美味しく炊けた。



 私はお茶碗にツヤツヤと白く輝く白米を盛り、


 お盆にお味噌汁と焼き鮭をのせて


 杏寿郎の元へと運ぶ。




「杏寿郎、朝餉できた…」



 朝餉を持っていくと、


 杏寿郎は机に顔を伏せて寝息を立てていた。




 疲れていたのかな…?



 私は朝餉を机に置くと、


 杏寿郎の向かい側の椅子に腰を下ろした。




 こんなに近い距離でまじまじと見たことがなかったけど、


 杏寿郎って整った顔をしているんだなあ。


 鼻筋も通っていて、まつ毛も長い。



 綺麗な顔で少し羨ましく思う。




 朝日を浴びて艶めく髪の毛。



 ふと触れてみたくなって、


 私はおもむろに彼の頭に手を伸ばした。



 そっと触れた髪はさらさらと指通りが良くて


 少し癖のある毛先がなんだか可愛い。





 すると突然腕を掴まれた。




「A…?」




 不意に掴まれたからか、脈拍が急激に上がる。




「あ…えっと…」




 いつもより少しだけ細められた目が



 私の知るいつもの杏寿郎の目とは違っていて



 彼に掴まれた腕からじわじわと身体が熱くなっていく。




「朝餉…できたよ。」




 私がそう告げると、


 人が変わったようにいつもの杏寿郎の目に戻った。



「そうか!ついうたた寝をしてしまっていた!

 早速いただくとしよう!」

22.さつまいもの味噌汁→←20.心配



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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - ハウンさん» ハウンさん、こちらこそお読みいただきありがとうございます!引き込まれると言ってくださり大変光栄です!続編も更新しましたので、引き継ぎお楽しみいただけるよう頑張りますね! (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、ありがとうございます!まっすぐな煉獄さんの深い愛情が表現できていれば…と思います。これからもそんな彼を言葉だけではなく、仕草や態度での表現ができるように努めたいところです! (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
ハウン(プロフ) - 素敵な作品を作っていただきありがとうございます!ものすごく感情移入してしまって胸が締め付けられるくらい引き込まれました!続編楽しみにしてます! (2022年2月28日 23時) (レス) id: 065a2165a6 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 今日も煉獄さんが素敵だ。押し付けがましいところは一切なく、ただただ彼女の幸せを願い笑顔を作れる彼は本当に素敵。 (2022年2月28日 21時) (レス) @page50 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» 彼はあまり内緒話など出来なさそうですよね(笑) 巧いだなんて言っていただけて…嬉しすぎて今夜は幸せな気持ちで眠れそうです〜!いつもありがとうございます。 (2022年2月26日 21時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年2月5日 21時

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