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23 ぽっかり ページ24

炭治郎side


「屋上の風はもう冷たいもんなあ」

「そうだな」


善逸はクリーム色のカーディガンに手を擦る。
時間帯も放課後であるために肌は冷えてしまいそうだ。
屋上で風を浴びるのは風を引きかねないので屋上までに繋がる階段で腰を下ろし駄弁る。

まだ葉は落ち切ってもいないのに随分と冷える。


「せっかく俺の奢りなのになんで炭治郎お茶なんだよ」


善逸は俺にあったかいお茶を渡す。
ここに来るまでの間に自販機で飲み物を買ってもらったのだ。
俺はいつもパンを無償で提供することが多いので善逸は申し訳ないからって言って
時々こういう機会にお返しをしてもらっているのだ。

俺はお茶を選び善逸はコーンポタージュを選んだ。


「それにしても最近どうなの炭治郎?」

「どうって何のことだ?」

「うわ、すっとぼけした」


善逸はジト目で俺を見る。
「なんで分かんねぇんだよ」と訴えかける目に俺は答えた。


「もしかしてAのことか?」


俺が呼び捨てで呼ぶのに善逸は目を丸くした。
そしてまたジト目に戻る。


「彼女とは会う機会が少なくなった、資料室にも最近は行ってないし」

「それでいいのかよ」

「俺は別に彼女が好きなわけじゃないんだ、友人として接してるつもりだ」


さらりとそう言ってしまえば善逸は納得のいかない表情でこちらを見る。

俺が思った予感は的中してAは資料室に来なくなってしまった。
ときどき顔を見せてくれるが日にちが経てば経つほど頻度は下がった。

日常のことを会話してすぐ終わる。
やはり彼女にとって仕事は仕事でしかないし役目が終わればもういいのだ。
俺はそう思い自らも資料室に行かなくなった。

だからここ二週間は二人きりにもなってないし挨拶を交わしたのも数回だ。

前に彼女から「避けてる?」なんて言われていたが
今では彼女の方が避けているではないか…と思うこともある。
そしてまだ引っかかる彼女の過去。
話してくれたけど今は悩んでいたりするのだろうか。

前にまた昼休みにパンを持って行ってもいなくて
一人でいるわけではなさそうなのだけどどうも気になった。

ぷしゅっと缶を開けて喉に注ぎこむ。
体がじんわりと温かくなるのが分かった。
なのに心にぽっかりと穴が開いてるような気がしてすっきりはしない。

彼女のことが好きなのかな?
何回だって考えている。
好きなわけじゃないって言いきった割にはこのざまだ。

悩む自分に嫌気がさしていた。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 竈門炭治郎 , キメツ学園   
作品ジャンル:恋愛
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琴音 - めちゃくちゃ、キュンキュンしました!ありがとうございました🙇 (2022年4月5日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
ふわむにゃ(プロフ) - chiaki0708さん» 本当に感謝です、指摘いただいてなかったら一生あのままでした…泣 (2021年12月4日 13時) (レス) id: 77e8970457 (このIDを非表示/違反報告)
chiaki0708(プロフ) - 俺の???彼氏???夢主ちゃんおとこ? (2021年12月3日 22時) (レス) @page39 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
ふわむにゃ(プロフ) - りんないさん» コメントありがとうございます…!夢主ちゃんとことん可愛く脚色させて頂きました、私も可愛く生まれたかったです(笑)更新遅めですが頑張らせて頂きます! (2020年6月8日 1時) (レス) id: a6eb1143e2 (このIDを非表示/違反報告)
りんない - 炭治郎がいろいろ困ってるのかわいすぎます…!夢主ちゃんみたいな可愛い子に生まれたかった…更新頑張ってください!! (2020年5月30日 19時) (レス) id: 99e12d5a0b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふわむにゃ | 作成日時:2020年5月21日 2時

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