思春期たんじろ恋をする【キメツ学園】

18 熱中症 ページ19

炭治郎side


数日後、俺は資料を借りっぱなしだったこともあり資料室へと足を進めた。
昼休み、生徒は外に出たり廊下を走り回ったり様々だった。

俺は彼女と階段裏で話して真相が分かり彼女に対する見方が変わった。
やっぱり相手のことを知ることは大切だ。
最初に善逸に会った時も泣いてばっかりで不安にさせられたが、
なんだかんだでとってもいいやつで今でも仲良くしている、大切な大親友だ。

噂や偏見はやはり信用はできないな。
ずっと冨岡先生の言っていることを信用していたがちょっと違うことに気づいた。
先生も彼女についてもっと知れば見方が変わっていくのだろう。
しかし彼女にはまだ読めない部分がいくつかある。

…この前の話は俺だけにしているのだろうか。
口ぶりからして他人には言ってないようだ、俺だから話してくれたのだろうか。
俺は彼女の重い口から出た話を秘密にして誰にも話さないように心に決めた。


「失礼します」


俺が扉を開くと資料室の机に顔を置き静かに眠るAがいた。
どき、と心が鳴るのが分かる。
彼女の近くでゆらゆらと揺れる白いカーテンと太陽できらりと光る髪。
肌は夏なのにも関わらずあまり焼けていない、自分の手入れを欠かさずにしているのだろう。

それにしても蒸し暑い、ここの気温は何度なんだろう。
そう思ったところではっと気づく、まずいAが熱中症にでもなっていたら。

俺は資料を床に置いて急いで駆け寄った。
熱中症は危険だ、命に繋がる場合もある…。


「A、大丈夫か？」


背中をさすり、体を揺さぶった。


「熱中症になってしまう、早く起きるんだ！！」

「んっ…、たんじろ…？」

「熱中症かもしれない、どうにかしないと」

「ねっ、ちゅーしょう…？」

「………ッ！」


彼女はぼんやりとした顔で呟く。
これはどう見てもわざとじゃない素でしている。
こんな時まで誘う匂いがする、俺はやはり照れてしまうのだ。
彼女のことをちょっと知れても俺が動揺するのは相変わらずで。

しかし今はぐだぐだしている場合などではない。
俺は急いで近くにあったソファに寝かせ応急処置で脇下、首、内ももを冷却する。
床に寝かせるのは抵抗があったし丁度よく資料室にソファがあって良かった。

それにしても応急処置をするのにも手が震えてしまった。
脇下を冷やそうとするにも溢れる乳房には触ってしまうしももにも触ってしまう。

「ごめん、我慢してくれ」と自分にも言い聞かせるように処置を施した。

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