思春期たんじろ恋をする【キメツ学園】

10 急加速 ページ11

炭治郎side


「恥ずかしがっちゃうだなんて炭治郎くんは可愛いねえ」


彼女はそう言って少し寂しそうな顔をする。
あんなにも色気を出した後に駄目かと言わんばかりの目で見てくる。
まるで妹が甘えるようでふわふわした感覚になる。

落ち着け、炭治郎。
俺は長男だし惑わされるだなんてらしくない。


「…A」


俺は必死に恥ずかしさを堪えながら名前を言う。
すると彼女はぱっと顔を明るくした、笑顔だ……………かわいい。
今初めて彼女の満面の笑みを見た。


「ふふっ、ありがとう炭治郎！」


俺が名前で呼んであげれば彼女の方も君付けをやめた。
一気に距離が近くなった気がした。

彼女に気をとられすっかり忘れてしまっていたことを今思い出す。
そうだ、俺は彼女に聞きたかったことがあった。
一つは何故昨日は早朝から資料室で眠ってしまっていたのか、
二つ目は何故この資料室での手伝いを希望したのかだ。


「そういえばどうして昨日は早朝からこの部屋で寝ていたんだ？」

「張り切って登校したら早めに着いちゃってそのまま寝ちゃったんだよね…」

「なんだ、そんな可愛い理由だったのか」


彼女と知り合ってから昨日今日だがなんとなく話すのにも慣れてきた。
あとはその大胆な行動とかに慣れればいいのだけど俺は正直だからなかなか難しい。
すぐに顔に出るし態度にも出るしそこを直せればいいのだけどな。

彼女だと何故か駄目だ、他の女子とかなら普通に親切にいつも通り変なことも考えない。
しかし大きくて柔らかそうな育ちに育った乳房、有名人並みにサラサラな髪…。
ましてはスン…と鼻を鳴らせば香ってくる、誘ってくるような匂い。
でもちゃんと彼女は女子高生のあどけなさがしっかりと残っている。

視覚的にも嗅覚的にも手一杯だったがい俺は耐える。


「あとなんで資料室での手伝いを引き受けようと思ったんだ？」

「……炭治郎は？」


あ、答えようとしない。
理由をあまり話したくないのだろうか。


「俺は勉強の参考になりそうだし丁度いいかなって」

「勉強得意なの？」

「それなりにだけどね」


俺は資料を棚に詰めながら話す。
彼女を見なければ平常心を保ちながらいることができる。
俺は彼女に背を向け着実に作業を進める。

すると彼女は俺の後ろからシャツをきゅっと掴む。
またもや妹のように。


「炭治郎……私に勉強教えてくれない？」

11 相談相手→←9 孤立主義

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す