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#119『孤独からの解放』 ページ33

その時、敦の後ろに無人機に乗っていた泉鏡花とその異能力生命体である夜叉白雪が降りて来た。


「夜叉を刀で鎖を切って脱出した」


鏡花の体には傷だらけだったが、晴れ晴れした笑顔だった。

敦は泉に駆け寄り、思いっきり抱きしめた。

鏡花は頬を赤らめた。


「・・・・・・痛い」


鏡花の呟きに敦は慌てながら腕を解いた。


「悪かったね二人とも秘密にして。そうでも無いと入社試験の審査にならなかったから」



敦の頭の中に電流が走った。脳裏に響いたのは最低限の言葉の応酬しか無かった、作戦会議だ。

「もしかして・・・・・・最初から全部・・・・・・?」


太宰は笑って見せた。


太宰には既にこの結末が見えていたようだ。

「街は救われた。敵は打倒され、鏡花ちゃんは合格した」


朔は鏡花に近づいた。


「不安な部分もありましたが、上手くいって良かったです」


そう言うと軽く屈んだ。

鏡花と朔の目線の高さが同じになった



「入社おめでとうございます。これからよろしくお願いします」


朔は微笑みながら言った。
そして、手を差し出した。

鏡花は満面の笑みを浮かべてその手を握った。

鏡花は悟った。この人は自身が悪役に成り下がっても、人を助けようとする。本質はきっと良い人だと。

……全部偽りの気持ちだなんて言えやしない

美しく微笑む鏡花に後ろめたさを感じながらも朔は握られた手を握り返した。


「中島くんもお疲れ様でした」


朔は立ち上がり、中島を見た。清々しい良い顔をしている。


「朔君もお疲れ」


爽やかで綺麗な笑顔だ。

勝者のみが浮かべることが出来る美しい笑みだ。


「ほら、あそこ」


朔は川の方を指さした。


「おーい、無事かーーーー」


川縁に居たのは探偵社員全員だ。
全員が敦と鏡花を待っていたのだ。



敦と鏡花は苦しみから解き放たれたのだ。1人で孤独を噛みしめなくていい。

もう、1人で泣かなくてもいいのだ。

#120『ひと時の平和と忍び寄る影』→←#118『死んでもいい理由』



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飛沫(プロフ) - hurukawaさん» いえいえ、すみません。是非最後まで見てください。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - 見れました!ありがとうございます! (2021年1月15日 18時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - hurukawaさん» ご指摘ありがとうございます。こちらの不手際で非公開になっておりましたので、それを解除しました。見れるようになれたと思います。すみませんでした。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - #96がないです (2021年1月15日 17時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛沫 | 作成日時:2020年3月16日 15時

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