風が四十立ち ページ41
*
「主、たしか今日帰ってくるんだよね〜」
「また逃げてないといいけどね」
「ちょ、安定?!」
「はっはっは。`いってらっしゃい`と言ったのだ......次は当然`ただいま`だろう」
縁側で駄弁っていた二振りに混じって、三日月は笑う
そんな彼に便乗して加州も大和守も笑うのだが、内心は不安で一杯だった
__本丸に戻ってくる
つまりは、この本丸の主になるということなのだ
だからこそ、いつも通りの日常でありながらも、彼らの心にはさざ波が立ってやまなかった
「......!!」
「あれ、長谷部どうしたんだろう」
そんな大和守の呟きを拾って視線を走らせると、部屋を飛び出て走り去っていく彼の姿
持ち前の起動をフルに活用していたらしく、その姿はすぐに見えなくなった
多分鶴丸がまた何かやらかしたのだろう、なんてぼんやり考える
シャラン___ふいに本丸中心の鈴が鳴った
「主殿がご帰還なさったぞ」
蜻蛉切のその言葉を聞き終わらないうちに、彼らは縁側を飛び出した
走ることを制止する声なんて聞かぬふりで、門を目指す
......ほんとうに、ほんとうに`ただいま`が聞けるの?
あれだけ怖くてたまらなかった人間なのに、こんなに帰ってくるのを楽しみにしていたなんて
「貴様ら!!主がいらっしゃるというのに、たるんでるぞ!!!!」
既に門にいたへし切が腕を組んで、凄い剣幕で彼らを見る
「はっはっは。長谷部怖いぞ」
「......たしか蜻蛉切が言う前には走っていったよね?」
「あの人には主センサーみたいなものがあるんだよ、きっと」
こそこそと話す二人だったが、この場にいる全員が思ったことを代弁したに過ぎなかった
`なにそれー`なんて言って笑いながらも、目はしっかりと門を見つめる
やがて、ギギィと木のきしむ音が聞こえて、門が開き始めた
`おかえりなさい`それを言うという使命感がただただ嬉しかった
最初は刀を向けたりなんかしたし、ただあの人間を追い出そうと必死だった
また裏切られてしまう気がして、なのに期待してしまう自分がいて
馬鹿かもしれないけど、矛盾だらけで本当にわけわからなくて
だけど俺達と向き合ってくれてさ、手を伸ばしてくれてさ......
ぶわっ
_____身体中から花弁が溢れていく
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アカネ(プロフ) - 三十九立ちの所で多分「お花」と書こうとしたと思うのですが、「お米」と書いております…!更新頑張って下さい、とても楽しく読んでいます…! (2018年9月8日 17時) (レス) id: e853e23932 (このIDを非表示/違反報告)
悠@ - 露草浅葱#絵描き同盟さん» お忙しい中ご返答ありがとうございます。そうですね、キャラヘイトとは異なる点が幾つかあると思います。それは私の非ですね、すみません。ですが、タグ削除等は行ってほしいとは思っています(タイトルの刀剣乱舞は消さなくても大丈夫です。) (2018年7月26日 13時) (レス) id: c35ccfc481 (このIDを非表示/違反報告)
悠@ - こんばんは、突然すみません。この小説はブラック本丸を元にした作品だとお見受けしました。しかし、ブラック本丸というのはキャラヘイトと言う犯罪になりますので、刀剣乱舞原作に関わるタグをすべて削除するか、小説自体を削除してください。 (2018年7月25日 19時) (レス) id: c35ccfc481 (このIDを非表示/違反報告)
槝 - 一気読みしました。主の正論は自分の事を棚にあげてると思いましたが前に進めている姿は良い。沖田組好きなので加州の話は読み応えあり、彼らが変に罵り合う事なくレア刀が出張る事もなく、刀剣が等しく出ていて大変楽しめた。応援してます。 (2018年7月1日 6時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:露草浅葱 | 作成日時:2018年6月30日 14時