風が三十三吹き ページ35
彼らが退出して間もなく、
ア○パットを眺めていたこんのすけをつつく
「どうされましたか？......もしや、暇なのですか？」
どうやらつつくという行為を、ちょっかいだと思ったらしく
すごい形相で顔をあげた
一体、私はどういう人間だと思われているのか
「いや、違うよ？
こんのすけ、便箋持ってないかな〜って聞こうと思ってたんだけど」
「便箋......さては、政府にご用事ですか？」
「まあ、ね......たしか、現代？っていうか
私の住んでた世界？に戻るには、時の政府の許可が必要なんでしょ？」
「うーん、そうですね
では、この端末のメール機能を使ってみてはいかがでしょう」
手にしていたア○パットを私に差し出すこんのすけ
......多分、私の担当の高木さんに送ればいいんだよね
「ありがと、こんのすけ」
「いえいえ......あ、政府から連絡が入ったのでちょっといってきます」
ピン、と耳を立てた彼には、何かが聞こえたらしく
すぐに煙の中に見えなくなった
前、こんのすけを探していた時に見つけれなかったのはこういうことなのだろうか
しかし、さっきのように毎回お知らせしてほしいものである
＿＿＿＿さてと
送信者のアドレスに高木さんのを入れる
件名は......`現代に戻る許可をください`でいっか
内容は......そうだなぁ......
不意に、開けっ放しの襖の向こうから風が入り込んできて
壁にかけてあったカレンダーが揺れた
目に飛び込んだのは
今日から四日後のところにかかれた＿`弟`の＿文字
「......必ず、この日には帰らなきゃいけない」
自然と、手に熱がこもって
だけど、しっかりと文字を打っていく
＿＿今日の四日後、
＿＿どうしても、お墓参りに行かなければいけないのです
＿＿どうか、許可をください
簡単で、かつシンプルな文章
だけど、推し量れないほどの感情を乗せた文章
「......その日が、命日なのです」
ねえ、どうして
私よりもずっと若くて、優しいあんたが
あの日、私よりも先にいってしまったの？
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月夜桜(プロフ) - 失礼致します、「風が二十九吹き」が非公開となっているようです。 (2018年6月30日 9時) (
レス) id: 02630f3ef1 (このIDを非表示/違反報告)
AKASAN(プロフ) - とても面白いです！更新楽しみにしてます、頑張ってください！！ (2018年6月29日 13時) (レス) id: 1168bef346 (このIDを非表示/違反報告)
きの(プロフ) - 面白いですね！これからも頑張ってください！あと、方便ではなく、方言ではないでしょうか？間違っていたらすみません。 (2018年6月25日 0時) (レス) id: e253f59a3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：露草浅葱 | 作成日時：2018年5月22日 15時
