風が二十八吹き ページ30
主らしく信濃を粟田口部屋まで先導できたら良かったんだけど
前を歩くこんのすけを眺めながら、なんとも申し訳ない気持ちになる
何せ、彼らの部屋に行くこと自体が初めてなのだ
それに、
`俺っちも直ぐに信用できねぇ。時間がほしいんだ‘
薬研に言われた言葉が頭を巡り、途端に彼らを訪ねることがためらわれた
時間がほしいって言ってた
彼らを訪ねるのはもう少し、待った方がよかったんじゃないかな
「どーしたの、大将.......あ、ひょっとして薬研に何か言われたの?」
「うん、そう.......ってなんで?」
「薬研はね、弟であり兄だからって人一倍頑張るやつなんだ
兄の足を引っ張らまいと常に気を配ってさ
弟がさみしい思いをしないようにって面倒をかって出るんだ
だからこそ、あいつには遠慮なんてしちゃだめだよ?少し強引なくらいが丁度いいの」
ししし、といたずらっ子のように笑う彼
薬研って、すごい立場にいるんだな
最初、私に切りかかったの時だって‘兄として`弟として`頑張ろうとした結果なのだ
.......私には、彼はまぶしすぎる
「さ、着きました」
目の前に広がるのは大部屋
随分と兄弟が多いらしい
.......よし、今日も頑張ろう
「おはよう、雲だけど」
「帰ってくれ」
帰ってくれはもう聞き飽きた
こんなことで、心なんて折れていられないから
「ついさっき、鍛刀したら信濃が来たんだけど」
すると、しんと静まり返る部屋
これは`入ってもいいよ`の意なのだろうか
この本丸ではポジティブに考えないと、生きていけないらしいからさ
「じゃあ、邪魔するよ」
二・三回ほど軽くノックをしてから、襖を開けると
ビュンッ___刀が飛んできた
「危ないっ、大将!!」
「おやめなさい!鯰尾」
私に刺さる寸前で、信濃の刀身が刀身を受けた
カラン、と音を立てて転がる刀身
投げた本人は困惑の表情をした
「いち兄.......だって」
「だって、じゃありません。審神者殿、ご無礼をお許しください」
いち兄、と呼ばれた彼が頭を下げた
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月夜桜(プロフ) - 失礼致します、「風が二十九吹き」が非公開となっているようです。 (2018年6月30日 9時) (レス) id: 02630f3ef1 (このIDを非表示/違反報告)
AKASAN(プロフ) - とても面白いです!更新楽しみにしてます、頑張ってください!! (2018年6月29日 13時) (レス) id: 1168bef346 (このIDを非表示/違反報告)
きの(プロフ) - 面白いですね!これからも頑張ってください!あと、方便ではなく、方言ではないでしょうか?間違っていたらすみません。 (2018年6月25日 0時) (レス) id: e253f59a3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:露草浅葱 | 作成日時:2018年5月22日 15時