帰る場所護る場所 (ページ16)

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スガオ×ハ×オサナイページ16

明け方に飛行船はホームへ到着した。

しかし、Aはなかなか起きなかった上、あまりにも穏やかに眠っているせいで誰も起こそうとしなかった。

だからといって大きな飛行船を置いたまま寝かせては、目立ってしまう。

仕方なくクロロが抱き抱えてホームへ戻った。

マ｢まだ起きないのかい？その子。｣

ク｢うーん、ちょっと強かったかな。薬は慣れてると思ったんだけど。｣

マ｢にしても綺麗な顔だね。作り物みたいだ。｣

マチは眠っているAの頬を指でそっと撫でた。

するとAからマチへオーラが流れ込んだ。
マチは咄嗟に指を離した。

ク｢どうした？｣

マ｢この子からオーラが…｣

ク｢オーラ？｣

クロロはマチと同じ様にAに手を伸ばす。

同じように、触れた瞬間クロロにオーラが流れ込む。

流れ込む量は次第に少なくなり、しばらくするとピタリと止まった。

ク｢嫌な感じはしないな。｣

マ｢ああ、むしろ体が軽くなってる。これもこの子の能力かい？｣

ク｢恐らくな。｣

2人はふとAに視線をやった。

すると、先程より幼くなっていた。

クロロは腕の中のAを揺さぶった。

ク｢おい、起きろ。A。｣

『うん……どこ？』

ようやく目を覚ましたAは、薄らと目を開けた。

緋色と言うには暗い、深く濃い深紅の瞳がクロロをとらえた。

ク｢Aか？｣

『あい、ここは？』

ク｢俺たちのホームだよ。それより、体に違和感は？｣

Aはクロロの問いに対して瞬きを繰り返した。

首を傾げて体をぺたぺた触っている内に、その手は顔と胸にたどり着く。

『なんで？戻ってる。』

マ｢あたしが触ったらオーラが流れてきたんだ。そしたら幼くなってた。それあんたの能力かい？｣

『ええ……あまり見ないで。この顔好きじゃないの。』

Aは恥ずかしがるわけでもなく、心底嫌そうに呟くと着物の袖で顔を隠してしまった。

ホームに居て、その様子を見ていた者たちは訳が分からなかった。

酷く醜いわけでもないのに、どうして顔を隠してしまうのか。
何故そこまで自分を嫌悪するのか。
Aの素顔はどちらなのか。

パ｢A、とにかく顔を上げてちょうだい。あなたの素顔はこっちなのよね。｣

Aが1番心を開いているパクノダが声をかけるが、いっこうに顔をあげようとしない。

パ｢教えて欲しいのよ。貴方のこと。｣

ダメかしらと優しく尋ねると、Aは小さく頷いた。