再会はモラを盗まれそうになったとき ページ2
とある男の人に璃月を案内して数週間。スイートフラワーとミントと鶏肉を採りに来ていた私は、大方食材を集め終えたので帰ろうと鞄を背負い直したその瞬間だった。
「お宝はもらってくぜ!」
「─────は、?」
ひったくりに遭った。"お宝"?何を言ってるんだこの宝盗団共。間違いも大概にしろよいい大人が。というかその鞄の中には未だに再会できて居ない残メンさんに返すお金が入ってんだよ返せこの野郎。と、涙ぐんで居た矢先。
「お嬢ちゃん、頭を下げて!────止水の矢!」
「「ぐぁぁぁぁぁっ!」」
遠方からの大声。思わずその声に素直に頭を下に下げる。本能的に腕で頭を覆って。そしたらさっきの宝盗団共の苦痛な悲鳴が聞こえた。何だ何だと思っていると、「ふう」と息を吐く声。思わず顔を上げてみると、宝盗団を冷めたような目で見る先日モラを支払ってくれた残メン。
「大丈夫?冒険者でもないのにこんなところで食材の採取なんて危な────あれ、この間の」
「その節は…どうも……」
最初の出会いも再開したときもモラ関係になるなんて思っても見なかったですけど。
「どうしてこんなところに?ここは最近宝盗団が出入りしてるって噂になってたはずだけど」
「え゛ッ…そうなんで…すか?知らなかったです…」
「……キミ、掲示板とか見ないし噂に耳を傾けないタイプだね?駄目だよ、情報は一つの知識だ。どんなに小さなものでも必要ないものでも、いつか役に立つものかもしれないのだから知っておかなきゃ」
「はぁ……、冒険者って…やっぱ考えが違うんですね」
「─────冒険者?……ああ!俺は冒険者じゃないよ。戦闘は得意だけれど」
ケタケタと笑いながら答える彼に、私は「そうなんですか…」としか答えられない。ヘタリ、と座り込むと彼は「ああ、腰が抜けたのか」と指摘してほしくないところをピンポイントに指摘した。足軽に逃げ帰った宝盗団のところに向かい、盗まれそうになった鞄を手にとってこちらに差し出してくる。
「はい、もう盗まれないでね」
「すみません…あ、この中にあなたに返すモラが入ってるんです…!」
「モラ……ああ、あの時のかい?別に良かったのに」
「流石に悪いですよ!それに値段の計算もせずにホイホイと買いたいモノを入れた私の自業自得ですから!」
「それはたしかにバカの所業だね」
「うぐぅ……!」
意外とこの人、毒舌だ!
一体どのくらいのモラ消費なのだろうか。→←出会いはモラを払ってくれたとき
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作者名:無胤 | 作成日時:2022年12月2日 0時