【gnsn】こっちを向いて公子様 (ページ2)

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EP__0. ページ2

「「公子」様、本日のご予定ですがこのあと璃沙郊(りしゃこう)の霊矩関(れいくかん)にて遺跡守衛の暴走がないか見回りに新兵たちを出させようと思うのですが構いませんか？」
「─────あぁ、構わないよ。俺の手が必要ないのならそれに越したことはない。俺は俺で、他にやるべきことがあるからね」
「その"やるべきこと"の件ですが、相手方はやはり借金の返済をまだ待ってくれと引き伸ばしにしてきているようです。どう致しますか？」
「そうだね、これでも二回程待ってあげたんだ。それに胡座をかいているのであればもう相手に返す意志はないよ。そっちの回収は俺がする」
「「はっ」」

　北国銀行。真剣な顔で一人の男と複数の男女が会話をしている。その内容は"新兵"だとか"借金"だとか微笑ましくない内容だ。

「ん…？エカテリーナ、Aはどうした」
「A様でしたら、先程お目覚めになられてもう直ぐ来る頃かと────、あ。」
「公子様おはようございます！本日もかっこ可愛いですね！」

　ファデュイ執行官、「公子」タルタリヤ。彼の直属の部下の姿が見えず、側に居たエカテリーナに彼女の行方を聞いた。本日のこういった会議はこの時間に行うからと前もって話しておいたのに、彼女はまた遅刻か、と公子が頭を抑えようとしたところで、背後に気配を感じる。
　そんな朝の挨拶をしながら突進してくる彼女。タルタリヤは背後も見ずに気配だけでその突進をヒョイッと躱し、口を開いた。

「はい、おはよう。いつもの挨拶ドウモありがとう。ところで君は会議に遅刻して来ているという自覚はあるのかなぁ？愚鈍な態度も度が過ぎると呆れるよ」
「えっ、その罵りと立ち絵からすごい興奮しました」
「真剣な話をしてるんだから返す言葉それじゃないだろ」

　眉を顰めながら軽く彼女に叱りを言い放ったものの、ノーダメージ。それどころか好きに解釈をして何故か褒めてきた(いや、褒めというより今現在抱いた感情の報告か)。つい、こちらが呆れて突っ込んでしまう。

「公子様と話して居るだけで私は幸せですので」

「えへへ」と言わんばかりの本当に幸せそうな顔。なんとも言えない感情に苛まれ、タルタリヤは顔を背けて頭を掻き、大きな溜息を吐く。

「はあ。もういいよ。お前には俺と一緒に借金の回収に当たってもらう。いいね？」
「公子様と一緒にですか！？もちろんです」

　元気よく返事をした彼女に、再び溜息を吐く「公子」であった。