【忍たま】色恋にうつつを抜かせ【短編集】 続

視線 1 ｰ立花仙蔵ｰ リクエスト作品 ページ40

最近編入してきた、二年生の生徒が居る。
みんな編入生と聞き、どんな子かと見に行ったものの物静かで･･･まあ地味な子だった。

前髪も長く、暗いような印象を与えられる。
そんな子が作法委員会に入ったのだ。

委員会も真面目にやっているし、勉強も疎かにしない･･･けど気になることとしては、長い前髪だ。

委員会でたまたま二人になった時、思い切って聞いてみた。

立「その前髪･･･邪魔じゃないのか？」

その発言をした瞬間 私から距離を置き、前髪を守っている。
いや･･･まあ、切るつもりなんて全然ないんだがな･･･。

「邪魔じゃないです」

立「ならいいんだが、ほら年頃の女の子なら･･･もう少しお洒落しても」

「いいんです！」

強く言い放たれてしまう。
正直･･･たまに転けてるところやつまづいてるところ、そして見えずらそうにしてるのを知ってるから･･･なんとも。

邪魔としか思えん。

立「なにか理由があるなら話してくれないか？力になりたい」

「うっ･･･」

立「ん？」

見えるのは口元だけ、たまに前髪の隙間からちらりと目が見えるだけだ。
どんな理由があるかは分からないが、何か助けになれればと思っただけ。

「･･･見ても･･･気持ち悪いとか･･･思わない･･･？」

立「あぁ、もちろんだ」

「･･･おでこに、傷があるんです･･･それを隠すために･･･伸ばしてるんです」

前髪を上げて見せてくれる
だいぶ前の傷のようだが、目立つところにある。

･･･男は顔に傷があると勲章と言われるのに、女はただの傷物扱い･･･。
額に軽く触れれば、目をぎゅっと瞑る。

立「気になるのか？」

「はい･･･昔からずっと言われてたので」

立「じゃあ私が気にならないようにしてやろう、ここに座っててくれ」

「･･･？」

化粧品を取りだし、大人しく座るAの顔を彩っていく。
傷口のところに薄く紅を塗り、その上から白粉･･･。

女の子なら傷があるのも気にするし、綺麗じゃないからと隠してしまう気持ちもわかる。
だったら隠して綺麗にすればいいだけの事だ、傷があっても見せたくなる顔になればいい。

前髪も傷が隠れるようにアレンジを加える。
そして最後に紅塗り、Aを鏡の前に座らせる。

「･･･うわぁぁぁ！」

立「気に入ったか？」

「す、すごい･･･」

立「せっかく可愛い顔をしてるんだ、見せたないともったいないからな」

「こ、これ･･･教えてください！」

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