【名探偵コナン】私も「どんな関係？」と問い、ケンカ何度もしたわ。【降谷零】

肉から臭みを消す方法は色々あるけれど、味を消すには会話が一番 ページ6

「感謝、とは」
「『真純からいつも話を聞いていて』って、話すと長いし、自分で言うにはなんだか……恥ずかしいね。動画あるけど見る？」
「見る」
「後でね」

　いよいよ味覚が無くなってきた。否、実際はあるし、辛うじて「うーんうまい……のか？」という味覚までは持ち上げることができたが、目の前のステーキをナイフとフォークで切って、食べて、また切って、という作業がとんでもなく面倒に思えてならなかった。

　むぎゅむぎゅと肉を咀嚼し続けて、目の前のステーキを消すと、風見は通りすがりのスタッフに皿を下げるように言って、さっさと皿を片付けさせてしまった。

「で、動画は？」
「そんなに食い気味で、何かある？」
「職場ではミステリアスで通っているような男が、花束を抱えているところを見たい」
「悪い人」

　はい、と片付いたテーブルに置かれたスマートフォンを覗き込むと、小さな音量で声が流れ出している。世良が撮影しているのか、随分と手ブレが激しい。

　動画はホテルの車止めで撮影されていたようで、一足先に車に近寄っていた真純がスマホ片手に撮影していた。車から降りた赤井秀一を、車の後部座席から花束を取り出した真純が、兄である赤井に花束を渡しながらカメラを回し続けている。
　それから真純がホテルから出てくる円堂の名前を呼んだ。園子と何か話していた円堂が、名前に誘われ真純の方へ顔を向けると、画面の中で少し驚く。

『え、なに？』
『ボクの兄だよ！』
『やぁ。赤井秀一だ』
『あ！ あぁ、もしかして「秀にぃ」？』
『そう、秀にぃ！ 先月誕生日ってことを話したら、プレゼントだって』
『いつも真純から楽しい話を聞かせてもらっているお礼として、受け取ってくれ。これからも真純をよろしく頼む』
『すっごぉいじゃないの！ ね、A！』
『わ、綺麗！ 大きいね』

　園子と蘭に挟まれ、円堂は嬉しそうに、真っ赤なラナンキュラスの花束を腕に抱えた。

『いい香り。赤井さん、ありがとうございます。こちらこそ真純からは、いつも元気をもらってばかりです』
『それは良かった。喜んでもらえて光栄だ。素敵な一年を送ってくれ』

　カメラは花束を抱える円堂の笑顔を最後に終わってしまった。ほぼ同時に、デザートが運ばれてくる。

「この動画、送ってくれ」
「えっ、要る？」
「要る。成長記録だ」
「成長記録ね」

　ま、いっか。と円堂は動画をそのまま兄へ送ってしまった。アイスが溶けてしまいそうだったから。

三、お弁当は昨晩の残り物をどうアレンジするかが勝負→←肉から臭みを消す方法は色々あるけれど、味を消すには会話が一番

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