#彼女さん ページ5
それから。
同じお店で働いていても、フロアが違えば仕事中に顔を合わせる事は少なくて。
せっかく坂田さんと仲良くなったのにな……なんて、少し寂しく感じたりもしたけれど、全体的にスタッフみんなで仲良くなっていて。
遅番で勤務している学生の中でも、特に酒好き歌好きの8人でつるむようになって、仕事終わりに飲みに行ったり歌いに行く頻度も高くなったんだけど。
その中に、私と坂田さんもいて。
「お前ら仲イイな」なんて揶揄われながら「そうでしょ〜」なんてふざけて2人でくふくふ笑って。
「私、彼氏いるし」
『へぇ……そうなんだ』
「あれ?言ってなかったっけ?」
『聞いてなかった〜』
「坂田さんは?なんかモテそう」
『まぁ……モテる方かもな』
「じゃあ彼女もいるんだ?」
『まぁ……一応?』
「えっ!?どんな人!?」
『どんなって……年上?』
「私も!私はね、1コ上」
『そうなんや、俺はね、5つ上』
「えぇっ〜!?」とか、「すげぇ年上つかまえてんな!?」とか、みんなして驚いて。
坂田さんは坂田さんで、「そう?」なんて、驚いてる私達を見て、くふくふ笑っていて。
ここぞとばかりにみんなで坂田さんの彼女の話なんかを聞き出そうと躍起になったんだ。
その間ずっと坂田さんは、なんだか嬉しそうに恥ずかしそうに彼女の話をしながら、耳の端っこだけ赤くしていて。
なんか、可愛くて。
こんな風に、嬉しそうに恥ずかしそうに話をして貰える彼女さんは、きっと幸せなんだろうな……なんて思って。
それを思ったのは私だけじゃなかったのか、羨ましさからなのか、坂田さんの新たな一面が見れたからなのか、みんなして揶揄って。
『もうっ!俺の話はいいやろ⁉』
そう言ってプンプンしていた坂田さんにターゲットにされたセンラさんは、やたらと坂田さんから暴露話をされていて。
その時に、高校の同級生だと知って驚いたんだったな……そりゃ仲良いハズだ……。
『センラは奥手過ぎんのや!!』
セ「んな事ないんや!!」
『いいや!そうだね!勉強ばっかりしてっからムッツリになるんだよ!』
セ「あっ!お前!!バカ!!」
「「「「「…………」」」」」
セ「違うんよ!!違うんやって!!」
この一件以来、センラさん=ムッツリという構図がバイト内で出来上がってしまったのは、言うまでもない。
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