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#呪い ページ21

呪い……?








ふに……と、柔らかく触れていた唇が離れると、私の頭の中はさっきのさかたんの言葉がグルグル回り出して。


そんな私に気付いてるさかたんは。


ふふ……って、軽く唇を触れ合わせたまま、小さく笑った。








『逃げないん?』


「……さか、た…ん…?」


『まぁ……逃がしませんけどね』


「まっ、て……さかた」


『呪い、かけに来たって言ったでしょ』








こつん、と触れたおでこ。


ふわっと触れる鼻先。




間近に感じる息遣い。




お酒のせいなのか。


目が潤んで光っていて。




あむ……と唇を啄まれて。


やっと思考が戻ってきた。








「ちょ、と……さ、かっ」


『うん……』








彼の右腕が、自然と腰に回されてて。


彼の左手が、目の前にかかってた私の前髪を、ゆるりと横に避ける。




ぱく……ぱく……と、優しく、確かめるみたいに触れてくる唇に。


目の前の人を好きな私は、全力で逃げるなんてこと、出来なくて。








『かかっといてよ、呪い』


「だから、呪いって……んんっ」








私が言葉を発するタイミングを待っていたみたいに、唇を押し付けられて。


開いていた隙間から、彼の舌がぬるりと入り込んできて。


さっきまで私の前髪を撫でていた左手は、私の後頭部に回されてて。


広げられた指先は、まるでさかたんが私を『逃がさないよ』って言ってるみたいで。








『……A、かわいい』


「……っ!!」








私がさかたんのシャツを握ったのが、彼のスイッチになってしまったみたいで。








そのままさかたんの好きにされた。








動きは激しいのに。


触れる手は優しくて。




止めてってお願いしても、全然やめてくれないのに。


私に触れる唇も、私を見つめる瞳も、なにもかもが優しくて。




途中で意識を飛ばしてしまったらしい私が目を覚ますと。


服もちゃんと着せられてて、ベッドに寝かせられてて、さかたんの姿は無くて。




覚めてない頭をそのままに洗面所に向かえば、さかたんと触れあったのが夢じゃないって教えてくれる、紅い痕がいくつも残っていて。




室内を見渡せば。




玄関のポストから落とされた鍵と。


キッチンに片付けられた空き缶と。


テーブルの上にさかたんの文字。









『またね、A』








紅い痕とメモだけ私に残して。







さかたんは消えた。

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作成日時:2019年7月6日 21時

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