#目覚めてから ページ15
それから2、3日。
いろいろと忙しかった。
丸々24時間眠り続けたさかたんが起きてから、彼をサークルの先輩の所に連れて行った。
先輩とさかたんを繋げるモノは私しかないから、彼女にはきっと見つからない。
彼女の方のシフトを確認して、出勤している時間帯にさかたんの家に行って、必要そうなモノをキャリーケースに詰め込んで先輩の家にも運んだ。
そして、お店の社員さん全員に、彼のシフトを聞かれても教えないようにお願いをして。
さかたんの出勤日は、彼女の出勤日と全て一緒になるように、同じゲーム担当のコ達にシフト変更をお願いした。
さかたんは、お店のみんなに可愛がられて愛されてたから、彼が大変な状況になってるって事を知ると、みんな協力してくれたから、とてもありがたかった。
……その代わりに私とセンラさんがウチのお店にジュースやらお菓子やらを差し入れるのを余儀なくされたのは、この際どうでもいい。
そんな2、3日を過ごしてから先輩の家に行くと、さかたんは、すごく申し訳なさそうな顔をしていたけど……。
「出世払いだね」
セ「飲み代おごりやんな」
『……マジか』
「それより実家に連絡は?」
セ「……まだ」
「……なんで」
『……そんな睨まんといて⁉』
セ「まぁ、ほら、落ち着いたら、な」
学生な私達にやれる事に限界があって。
彼女が勝手に出入り出来る部屋をそのまま使うワケにはいかないし、鍵を変えたところで付近で待ち伏せされたとしたら意味が無い。
そうなると引っ越しする必要が出てくるから、さかたんのご実家を頼る他ない……っていうのは、彼も分かってるハズなのに。
「……それにしても」
セ「……気持ちは分かるで」
『わぁ!先輩!買ってきてくれたん!?俺、このゲーム欲しくて欲しくて堪らなかったんだよね!!』
この数日で。
サークルの先輩(♂)は、見事にさかたんに手懐けられていて……以前は興味の欠片も無かったゲーム機が、所狭しとTVの前に鎮座していて。
デレデレした顔を隠しもせず、子供みたいに喜んでいるさかたんの頭をナデナデしまくっていて。
『わぁっ!!彼女サンのハンバーグ!!昨日言ったの半分冗談だったのに、もう作ってくれたん?』
「……私、先輩の彼女、会ったこと無いんですけど」
セ「ソッチも手懐けたのか……」
「……マジか」
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