#今、気付いた ページ11
セ「坂田がさ、お前がもうひとりのオンナだと思われるのがイヤだっつってさ……だから説明しなかったんだよ」
彼女がウチのお店に姿を現したのは、探りを入れる意味もあったんだろう……だってオープニングの応援以来、初めてだったんだから。
そして、彼女からお店のオープン後の様子を聞かれて、自分の予測の話も含めていろんな事をペラペラと喋ってしまったのは、彼女とさかたんの関係を知らないそらるさんだった。
その時にそらるさんは、私とさかたんが仲が良くて、あれはくっつくのも時間の問題だとか、お互いに彼カノがいるのに羨ましいモンだ……なんて面白おかしく話したようで。
それを、たまたま事務所に用事があった翔君が聞いて。
彼女が事務所から出た後にそらるさんを叱ってたら、私の働くフロアに向かう彼女の姿が防犯カメラの映像に出ていて。
2人で慌てて3Fまで来たんだ……と、説明してくれた。
セ「きっとさ、前々から怪しんでた他のオンナの影が、そらるさんの話を聞いてお前だと思ったんだろうな」
「そんな……」
セ「お前に事前に話してなかったのは、今日みたいに何かあった時に、口裏合わせてるって彼女に思わせたくなかったからで」
「……そっか」
セ「実際どうかは知らんけど」
「……なんもないよ」
セ「……お前がさ、坂田のこと好きなんかなって思ってたんだよね僕はな」
「……は?」
セ「お前さ、坂田と一緒にいる時、自分がどんな顔してるか知ってる?」
胡坐を掻いてるセンラさんは、両手を後ろについて、仰け反るように天井に顔を向けて。
いかにも面倒くさそうに大きく息を吐いて、ははっ!と笑った。
セ「仕事中は気が強ぇ、酒呑んでりゃあザル、ノリが良い上に付き合いも良いヤローみてえなお前がさ……坂田の隣じゃ可愛くなっちまうんだから不思議なモンだよな」
ゆら……と頭を動かしたセンラさんは、ニヤリと片方の口角を上げて私を見て。
セ「はははっ!!図星なん!!」
顔にばかり温度が集まってる私を見て、豪快に笑って……というより、笑い転げていて。
ヒーヒー言って腹を抱えてるセンラさんに、私はおしぼりやら枝豆のカラやら……手当たり次第に危なくない物を投げつけて。
「やめてよ!!さっき気付いたのに!!鈍くて悪かったわね!!」
センラさんは余計にヒーヒー笑った。
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