地に堕ちた天使【番外編】

If…2【ut】 ページ43

鬱｢なんやねん。今日も来てくれたん？僕のこと好きやなぁ……｣

暗殺のターゲット。鬱先生。
この界隈では有名な人物。
狙った獲物は確実に殺す。
狙った女は確実に落とす。

そのため老若男女問わず｢あいつを殺して｣という依頼が後を絶たない。

なのに…何度殺しに行っても読まれてしまう。
彼は飛びかかった私の腰に手を回し引き寄せた。


｢離してください…。｣

鬱｢嫌や〜。もうええやん？十分やろ？
こないな汚れ仕事…やめよ？｣

ね？と、頬を撫でる手は優しくて。
そのまま彼の言うことを聞いてしまいそうになる。
これが彼の魅力なのだろう。
私はその手を払い除けた。

｢嫌です。この仕事を終えないと怒られるのは私なんです。｣

鬱｢怒られるのは嫌やな。じゃあ僕と来る？
僕は怒ったりせえへんよ？｣

｢ダメ…です。離してください…｣

彼の言葉は毒だ。甘い甘い…誘惑の毒。
本当は負けてしまいたい。
彼はゆっくりと口を近づけてくる。
動けば触れてしまいそうになる……


私は鬱先生を突き放した。

｢っ…辞めてください！｣

鬱｢おっと……。｣

｢絶対、今度は殺しますから…。｣

鬱｢また来てくれるん！？嬉しわぁ。｣


私はこの人が嫌いだ。
大嫌いだ。
簡単に人のことを揺るがす彼が大嫌いだ。

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