【wrwrd】翡翠の竜【zm】

Ep.43 ページ45

ﾛｽﾞ｢へぇ…。まーだ正気を保ってるのか。
いい加減諦めれば良いものを｣

｢諦めたら…私になんの得があるんですか…｣

嫌いで嫌いで仕方ない顔が目の前にある。
その顔を近づけないで欲しい。
だが、振り払いたくても顎をしっかりと掴まれてしまっていて動けない。

あの薬さえなければ…
簡単に振り切ることが出来たのに。


ﾛｽﾞ｢そうだねぇ。大人しく降参して、僕の妻になるのなら解毒薬をあげても良いかな？
正気を失った妻がいる、なんて僕の評判が下がっちゃうだろ？｣

ちゃぷちゃぷ…と怪しげな薄緑色の薬を目の前でちらつかされる。
シリンジに入ったそれは針の先から1滴落ち、地面にシミを作った。


｢本当に解毒薬なのか怪しいですけどね｣

ﾛｽﾞ｢本物さ。試してみるかい？｣

｢っ…！｣

ﾛｽﾞ｢…なんてね。今は使うわけないじゃん？
元気になられて逃げられても困るからねぇ…。
どう？希望見えた？｣

｢…ゲスが｣

ﾛｽﾞ｢は？黙れよ。｣

乱暴に顎を離され、床に叩きつけられる。
忌々しげに睨みつけるも、勝ち誇ったような顔のまま部屋を出ていってしまった。

｢解毒薬が…ある。｣

その事実だけで十分だった。
あとはなんとかして抜け出し、それさえ見つければどうとでも動ける。

何か…きっかけが欲しい…。
ここを抜け出すためのきっかけが…

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