五分経過 ページ6
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彼女の"擬態"。それを行った後に声を上げたのは、紛れもなくハンゾーだった。
「こ、この空気の振動は…擬態!?」
「ギタイ、とはなんだ?」
クラピカでも分からなかったのだろう。興味深げにハンゾーに問う。
「擬態は俺ら忍者に伝わる伝統的な技だ。ジャポンでも出来るのは師匠クラスら数人。俺ですら教われない禁句の技を、なぜ、なぜコイツができる!?」
「しかしどうして擬態だと分かった?ただ消えただけかも知れないぞ」
「いや、それはない。擬態をする時にはビッ、と弦が弾かれた様な音と空気振動がする。お前らも感じただろ」
なるほど、納得だ。
クラピカはそう言い、また目の前の試合に視線を向けた。
リングにはヒソカただ一人。そう見える。
じっと上を見つめるヒソカには、Aの在処が分かっているというのか。
だがしかし、違う所にいたAはじっとヒソカを見ていた。
(…あと10秒。ここに隠れててもやり切れるけど、私の手と足をこんなにしたヒソカに一発入れなきゃ気がすまん)
トランプを天井に差していくヒソカの背後から、迫り来る危険。
それを彼は感知できなかった。
『ゲームオーバーだよ、ヒソカ♡』
「なっ!?」
振り返った彼の顔のすぐそばで、空気が切れた。
『よし、5分経過!』
彼女の渾身の拳は、ヒソカの頬を切り、顔の真横に放たれた。
静まり返る会場に我関せず。ヒソカの顔の横の拳を退けた後、Vサインを彼に放った。
『ほら言ったでしょ?負ける気ないって!』
「………あぁ、"まいった"よ」
やったー!
そう言った彼女を、スッと姫抱きするヒソカ。
その行為に、会場はどよめいた。
あのヒソカが、女性を抱き上げるなど誰が考えただろうか。
『ちょ、ヒソカ!?何すんの!?』
「だってA、手と足怪我してるだろ?♦︎治療室まで運ぶよ♥」
『いいから!?大丈夫!!』
「これが?♦︎」
彼女のブーツを脱がせたヒソカは、そのブーツを逆さにした。
床に赤黒い血が散った。
生々しい血の匂いが散乱して、クラピカらは驚きに目を見開く。
『あちゃー…バレた?』
バレた?ではない。
会場にいた全ての人が呆れると共に、この怪我でヒソカにまいったと言わせた彼女に恐怖を感じた。
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ふぃあろ(プロフ) - えさん» よくわかってらっしゃる次のシーズン楽しみにしててください😏 (2月26日 16時) (レス) id: a89e9c6a81 (このIDを非表示/違反報告)
え - 体戻って欲しいw (2月21日 13時) (レス) id: 6e79f8ea1b (このIDを非表示/違反報告)
ふぃあろ(プロフ) - 成海 なるせさん» わわっ、ありがとうございます!!!亀更新で申し訳ない🙏ありがとうございます!✨ (1月10日 21時) (レス) @page49 id: a89e9c6a81 (このIDを非表示/違反報告)
成海 なるせ(プロフ) - 好感度ものが好きな私にとって、ものすごくどストライクな小説です……🥹夢主と色んな子達のやり取りを楽しく読ませていただいております✨更新待っています!お体に気をつけてください☺️ (1月5日 23時) (レス) id: 6732bb5dd1 (このIDを非表示/違反報告)
ふぃあろ(プロフ) - 海神 瑠花さん» なんと!!ありがとうございます😭主を自分で書いておいて夢主ちゃん大好きなのでめちゃくちゃ嬉しい😭✨ありがとうございます頑張ります👊👊 (12月12日 22時) (レス) id: a89e9c6a81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふぃあろ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/uekukz/
作成日時:2023年3月25日 15時