同情と恋心 (ページ49)

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デート前ページ49

仕事が早めに終わり、急いで着替えて会社を出た。

玉森さんは会社の目の前まで車で来てくれると言っていた。

玉森さんの車が来たら直ぐに乗り込んで会社を立ち去るためのシミュレーションは完璧だった。

でも、こんなにドキドキしながら車を待つことなんてなかったし、ましてや、待っている相手が有名人だと思うと、通り過ぎる人達にすごく見られている感じがして、落ち着かなかった。

携帯の時間を見ると5時50分だった。

【はぁ、あと10分は絶対に来ないよね…？

6時過ぎにって言ったし！

乗るまでのシミュレーションは完璧だし、服も化粧も直した！！

あとは……

笑顔だよね！！

笑顔が引きつらないようにしなきゃ！

頑張れ私！！！】

そんなことを思いながら、会社のガラス壁に映る自分を見つめていると、

(拓真)「おっ！Aさん！

何してるんですか？？今日いつにも増して急いでで帰っちゃったと思ったのに、ここにいたんですか！

誰か待ってるんですか？」

「いや！別に！！」

(拓真)「しかも、いつもより化粧濃くないですか？(笑)

やっぱり誰かと会うんですか？

俺も20歳になったらAさんとご飯一緒に行きたいですよ～！！(笑)」

「いや、まぁ、待ってるけど、大したことじゃないから！！(笑)

てか、今でも拓真くんさえ良ければ一緒に行こうよ！(笑)

でも、親御さん的には20歳にならないと大人との食事は心配だもんね！」

(拓真)「そうなんすよ！親が許してくれなくて、

俺は今すぐにでも、なんなら今からのご飯？もAさんと一緒に行きたいくらいっすよ！(笑)」

「でも、親御さんにダメって言われてるんじゃ、大人として私は連れて行ってあげれないなぁ！(笑)

また20歳になったらね！行こ！(笑)」

拓真くんは毎日会ううちにすっかり打ち解けて、男兄弟のいない私にはかわいい弟のようで、すごく可愛がった。

拓真くんの方もすごく話しかけてくれるようになって、私は拓真くんの前では自然と笑っていた。

その後も少しだけたわいもない話をして、拓真くんは帰って行った。

拓真くんのおかげで少しだけ心が軽くなった。

【よしっ！

私、頑張るよ！！】

そう気合い入れて周りを見渡した。

すると、明らかに高級車が会社に入ってくるのが見えた。

あんな車は社長が玉森さん以外ありえないと私は思った。

そう思うと急に緊張がわっと溢れ出した。