同情と恋心 (ページ29)

今日:4 hit、昨日:6 hit、合計:68,636 hit

目が合った。ページ29

今日はいつもより早く出勤して、朝から雑用係として走り回っていた。

キスマイが到着する前に完璧に準備を済ませないといけないからだ。

だから上司も今日は朝からピリピリしていた。

キスマイが到着前に一応準備は終わり、スタッフも少しだけ休憩が取れた。

10時前にキスマイが到着した。

そこからは何も経験のない私達はリハをただ見ているだけの時間だった。

まずはセットの出来をキスマイが探索。

そのあとはセットの動きと使い方の確認をしていた。

そして、軽くだけ衣装を着て少しだけ通しリハを行っていた。

その間忙しなく動く他のスタッフを横目に私は端っこの方でキスマイの皆さんのステージを眺めていた。

昨日の夜に玉森さんのことはアイドルとして見ると心に決めたから、今日はアイドルをしている玉森さんを新鮮な気持ちで眺めることが出来た。

ステージ上のキスマイは楽屋とは打って変わってキラキラしていて、すごく遠い存在に見えた。

【やっぱり遠い存在だなぁ…

これ見せられたらキスマイのファンの気持ち分かっちゃうなぁ｡｡｡

だって、ちゃんとカッコイイもん。

しかも……

玉森さんってちゃんとアイドルなんだね…。

あのアイドルの玉森さんとつい先日一緒に家に帰ったなんて信じられないし、幻想みたいだなぁ。】

つい何週間か前に2人だけの空間があっただけなのに、玉森さんにはこのステージを待っている何万人ものファンがいるのかなって思うと少しだけ寂しく、遠く感じた。

そんなことを思いながらスタッフと微調整しながら色々と確認しているステージの上のキスマイを眺めていると、

ドキッ

急に玉森さんが振り返って遠目だったが目が合ってしまった。

【えっ、なんでドキッとしちゃうの？私。

ダメだよ、ドキドキしないって決めたのに！】

直ぐに目を逸らしたが、多分玉森さんには気づかれていた。

【てか、なんで私はずっと玉森さんばっかり見てたんだろ。

ライブの全体見て色々勉強しないといけないのに！！】

そう言い聞かせて、必死で自分の心を落ち着けようとしていると、

！！！！！！！？？

北山さんがステージから降りて、私の方に向かって来た。

【えっ、？なんで？？？

なんで、北山さんは私の方に来るの？？？】

そして、私の前で止まると、ニコッとして話しかけてきた。