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「――この人殺し」
その笑みは、俺の一言で跡形もなく消え失せた。
「ねぇそらる、言い方ってものがあるじゃん」
弾むようだった声が、ワントーン低くなる。
「そらるに悪影響を及ぼす危険因子を、僕が排除してあげたんだよ。どうして褒めてくれないの?」
頭上に疑問符を浮かべるまふ。
その表情は純粋一色で、自分の過ちは全く自覚していない。
「それにさぁ……」
まふは俺の耳元に口を寄せる。
「僕のお母さんを、半殺しにしたのは誰だっけ?」
ゾクッと背筋が凍った。
「そらるも他人を死の寸前まで追い込んだでしょ? それなのに、僕をとやかく責められる? ……忘れないでよ、そらる。僕と君は同類だってこと」
俺の腕に絡みついたまふは、クツクツと喉を鳴らした。
「……どの口が……」
「ん?」
「どの口が言ってんだ!!」
考えるより先に怒鳴り散らしていた。
「俺はお前を助けるために、お前のためにやったんだ!」
私欲のために人を殺す、お前とは違う。
俺は正しいことをしたんだ。
「だから……間違ってなんか、ない……」
そう思っているはずなのに。
何だろう。
ひっそりと背後に忍び寄ってくる、漠然としたこの怖気は。
まるで俺を咎めるように、背中にへばりつくこの恐怖感は。
「正義感が強くて、滅多に人を疑わない。それは子供の頃から変わらない、そらるの長所」
俺の体に抱き着き、諭すように言うまふ。
「それと同時に」
バチバチッと耳元で音がした。
「紛れもない、そらるの短所」
うなじに走る激痛に、俺の意識は一瞬で途切れた。
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さっぽん - 次のお話を楽しみにしています!! (2021年5月19日 21時) (レス) id: 6727f20ffd (このIDを非表示/違反報告)
凛音(プロフ) - すごく楽しませてもらっています!病み系のものが少ないのでできれば長期化してほしいです! (2020年8月14日 3時) (レス) id: 19593b8502 (このIDを非表示/違反報告)
恋花レンカ - すごくドキドキします!続きが楽しみです! (2020年5月4日 11時) (レス) id: 434c29f1e9 (このIDを非表示/違反報告)
ときあめ(プロフ) - めちゃくちゃ鳥肌たちました……どこか薄暗いような、気が滅入るようなお話が大好きで、この作品を読んでこれだ!感がすごかったです笑続きを楽しみにしてます。 (2020年1月26日 14時) (レス) id: 5d5f606a06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マミカ | 作成日時:2019年12月5日 14時