第30話「キュウビ」 ページ30
.
白。
一切の穢れなき純白。
血のような紅の瞳に映すはかなり息の上がった私達。
膨大な「呪い」がこちらに降り注ぐように伸びてきて、
咄嗟に私は私の『九尾』を呼んで合図を送る。
「私達を乗せて走って！！」
私より背の高いキツネ。九つの尻尾を優雅に振るい、キャゥンと犬のように吠えた。
棘くんの手を取る。
背後から鞭のように撓る木が私達に向けて振るわれた。
「………、いくら」
「ごめん、棘くんごめん。
私もまさか空を飛べるとは思わなかった」
そして今。まさかの空中散歩。
巨大な木の核である呪霊は私達を見失ったかのように惑い、触手を蠢かせている。
私達を乗せた九尾は何処吹く風と言わんばかりに自由に空を舞う。あっ言う事聞きそうにないなこの状態は。久し振りに出したから嬉しそう。
「九尾、もしかして京都校の桃さんを見たから？」
真似したのかな。ちょっとだけ見えたけど、ホウキで空を飛ぶってめちゃくちゃ羨ましいよね。
しかしそれもコピー&ペーストしちゃうとは、九尾ってば凄い子。
あと普通に無視された。最近全く構ってなかったから？？
後ろに乗った棘くんは九尾の尻尾を興味深そうに眺めていたが、不意に「高菜！」と声を上げ下を指差した。
その先にいたのは交戦中と思われる恵くんと京都校の加茂さん。2人は私達にも、招かれざる客である呪霊にも気付いていないらしい。
呪霊が2人がいる方向に接近する。
私の考えを汲み取ったらしい九尾は、呪霊の死角から彼らの元へ駆ける。
2人の目がこちらに向けられる。
そして同時に、呪霊の手が彼らに迫っていた。
「2人とも！！」
「 【 逃げろ 】 」
棘くんの「呪言」。切羽詰まった私とは違い彼は何処までも冷静だった。
2人の足が急に意思を持ったかのように呪霊から遠去かっていけば、先程まで彼らがいた場所に呪霊の巨木が雨のように降り注いだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1503人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Alice - ( ,,`･ω･´)❕続きが早く見たいです!.更新頑張ってください (2023年1月29日 13時) (
レス) @page40 id: 37c62558af (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています！更新停止状態のままですが更新はされるのでしょうか？ (2021年1月4日 11時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
エドワールド(プロフ) - 更新頑張って！！ (2020年12月6日 20時) (レス) id: 47a0ed334c (このIDを非表示/違反報告)
黒酢 - 続きを...お願いします...!!更新待ってます！！ (2020年11月17日 23時) (レス) id: 3b4652fe38 (このIDを非表示/違反報告)
おでんパン - とっても面白いですね！！更新楽しみにしてます！！！！ (2020年11月12日 23時) (レス) id: 9599c9f027 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨風 | 作者ホームページ：
作成日時：2020年11月2日 17時
