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出勤すれば、今日は、店が閉まる30分前に向井さんが来た。
私が出勤するとこの人は必ずいる。
向｢今日は来れんかと思ったわ〜｣
｢ねえ、毎日来るつもり？｣
向｢おん。あ、でもシフトは教えんでええからね！行って会えた時の喜び感じたいねん｣
アホなくらい真っ直ぐだ。
大将も裏でヒューヒューなんて言っちゃってさ。
噂が広まり、年下のバイトからも"今日来てますよ"なんて言われる次第
｢今日はなに？｣
向｢唐揚げとー、梅水晶とたこわさ！あとビール！｣
｢梅水晶とたこわさ、そんな毎日食べて飽きないの？｣
向｢だってAちゃんの好きなもんやん。好きな人の好きなもんは食べたいやん｣
......この男は分かっているのだろうか。
さらっとナチュラルに告白していることを。
｢そんなに毎日食べてたら体に悪いよ。塩分凄いだろうし。今日はサラダにして｣
向｢心配症やな〜。しゃあない、奥さんの言う通りにしよう｣
｢お、奥さん？｣
向｢はっ、奥さんみたいな発言するから自分が旦那やて錯覚してもうたわ！｣
何言ってんだか。
そのボケがちょっとハマってしまって笑ってしまった。
向｢やっぱ笑顔が可愛ええね〜｣
はいはい、なんて受け流しながら裏へ戻る。
大｢ありゃ、顔が赤いよ｣
｢そんなことありません｣
大｢あ、俺もう上がるから、締め作業お願い。お店には康二くんしかいないし、CLOSEにしとくからね｣
｢あ、はい｣
上品にニコリと笑って、終わり支度をしてしまった大将
これはもはや大将の図らいだな。
あとで涼太くんに文句言っとこ。
さっとサラダを作り終えてて、これはもうさっきの会話聞いてたな。
恥ずかしさでどうにかなりそう。
向｢サラダ早いな、｣
｢まぁ｣
向｢もしかして大将帰った？｣
｢うん。だから料理は私が作れるヤツしか出せない｣
向｢え！？作れるん！何作れんの！｣
｢魚は捌けないから刺身以外なら｣
向｢ほぼやん...じゃあ、唐揚げとそば飯にしよかな｣
｢かしこまりましたー｣
大将がいる時はほぼ大将作るから、ちょっと久々で緊張する。
｢はい｣
向｢美味そう....Aちゃんの初料理｣
｢常連だから食べたことあるかもよ。大将いない時は私作るし｣
向｢そうなんかー！うわなんか悔しいわ....それ知らんで食ってたなんて｣
なんとまぁ大袈裟な。
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作者名：たまっち
| 作成日時：2025年2月10日 15時
