自己紹介,その2 ページ6
「俺の名前はクリス。そこのフェイと同じ村で一緒に働いてる……所謂パートナーって奴だ」
最後のパートナーという言葉にどう足掻いても悪意しか感じられないが、敢えて何も言わずにテーブルを見ていた。
――そして、次々に自己紹介が行われ、最後の1人となった。
今まで自己紹介したのは僕含めて11人……彼女が最後だから……今この場には12人もいるのか……。随分と大人数が集められたものだ。
「えっと〜、私の名前はっ……んー、ジェシカ!宜しくお願いしま〜す」
周りとどこか雰囲気が違う少女。
よく見れば片手にはお酒の瓶を持っていた。
お酒のせいか、呂律が回っておらず、聞き取れる言葉も少ない。
「ジェシカ!お酒の飲みすぎよ。貴女普段はお酒なんて飲まないでしょう?こんな場ではしたないわ」
ジェシカの隣にいた彼女の姉――サンドラが口を出す。姉として彼女の言動をよく思っていないようだ。
「はーーい」
サンドラの言葉を聞いてか聞かずか、ジェシカはそれ以上お酒は飲まず、ニコニコと笑みを浮かべながらも静かに座っていた。
――大方全員の自己紹介が終わった後、再びマイクが口を開く。
「……と、次は各々の部屋か?」
そう言いマイクはテーブル中央にあった紙を手に取る。
紙には「個室を用意してありますので御自由にお使い下さい」と丁寧な時で書かれていた。
周囲を見渡してみると扉が数種類あり、まるで旅館のような雰囲気であった。
「……ここ1つ1つに部屋があるんですかね……?」
そんな疑問を口に出すと、黒髪ロングの女性―-ミカが「取り敢えず見てみましょうよ」と自身の席を立ち、なんの躊躇いも無く付近にあった扉を開ける。
「あら、案外普通のホテルみたいなのね?」
開いた扉の先には、マトリョーシカの様に扉がまた幾つかあり、蝋燭が淡い光を放ち、辺りは少し暗かった。
「……私はこの先の扉も開けてみるけど……誰か一緒に来る人は居ないかしら?」
ミカは此方側へ振り返り、返答を待つ。
「……じゃあ、俺も行こうかな」
ゆっくりと席を立った茶髪の男性――ニックがミカへと近づく。
「他には居ないかしら?」とミカが再度返答を待つと
「じゃあ、俺とフェイも行くか」
クリスが返答する。
「僕行くなんて言ってないけど」勝手な事を言って何考えてるんだ、と視線を送ると、そこには「面白そうだから良いじゃねぇか」と言わんばかりのクリスの悪戯な笑みがあった。
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作者名:たまご | 作成日時:2019年8月14日 9時