招待 ページ3
内容を大方読み終わり「何だこの手紙」と彼は眉間に皺を寄せた。
「魔王からって……悪戯か何か……？」
「わからねぇ……悪戯にしては悪質すぎるし……あーっ、わけわかんねぇ」
魔王の名を騙るということはこの世界だと死刑に値するというのに、態々こんな悪戯をする輩はいるのかと思うが、魔王がこんな巫山戯た手紙を僕達に送ってくる理由も考えられないのでこの手紙の真偽は全くわからなかった。
「……てかよ、これ本当に魔王から送られてきたのだとしたら一体何処でやるってんだ？場所も時間も書いてないんじゃ行きようがねぇじゃんか」
手紙の内容を再度読み直しながら彼は言い、手紙の裏を見た。
「ん？裏になんか書いてあるな」
此方へと裏面を見せ、彼と横並びになり裏に書いてある内容を読む
「貴方々に選択肢なんてありませんよ。心配しなくとも、此方への切符は用意してあります。」
どういうことだ。益々訳が分からなくなる。選択肢というのはきっと参加不参加の選択なのであろうが、それが無い、ということは強制参加ということか。
此方への切符、というのはどういうことなのか。
「……悪戯にしちゃ、悪質だな」
先程も耳にした言葉を彼は再度口にした。先程よりも重く、暗い口調で。
「ほんとだよね。全く、何処の誰が……」
何処の誰がこんなこと。そう言葉を発しようとした時。
「――此処の私ですよ」
ふと、後ろから声が聞こえた。優しそうな、暗い、そんな声が。
「……っ！？何者だ！？」
反射的に僕達は後ろを向き、腰にかけていた武器を手に取る。
――そこに写っていたのは、獣の様な耳を生やし、ほくそ笑んでいる白髪の壮年が立っていた。
目線だけ動かして辺りを見回すと今まで立っていた村とは違い、洋館の様なモダンな建物の中にいた。
「……私の名前は……そうですね。皆様人間に合わせてエリック、と名乗っておきましょうか。」
不気味な笑みを崩さずに彼は自己紹介を始めた。
「貴方々は……フェイさんとクリスさんですね。ようこそ。武器は降ろしてあちらのテーブルへお着き下さい。」
エリックが指す方向には大きなテーブルが1つあった。
既に数人の男女が既に座っており、顔を見てみれば名の知れ渡る有名な勇者や明らかに最近勇者になったばかりであろう新米もいた。
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作者名：たまご | 作成日時：2019年8月14日 9時
