12月の花束＜ybhk＞

4月・またはじめから ※大学生ybhk ページ1

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*ybside only

少しだけ残っていた桜の花びらがはらりと舞う中、掲示板を見上げる光をみつけた。明るい茶色に染めた髪が風にふわりと揺れている。

柔らかい笑みをほんのり浮かべた横顔から目が離せない。
光はこちらには気がついていないようだった。


*****


半年前の告白は光からで3ヶ月前に別れを告げたのは俺のほうだったが、そもそも付き合っていたのかも曖昧だ。

何回か一緒に出かけただけ、酔っ払ってちょっと手をつないでみたりもしたが、そこまでだった。正直言って俺がびびっただけなのかもしれないと、最近やっとわかってきた。


*****


「友達に戻ろう」俺が光に告げたとき、光はその臥せた睫毛と握りしめた手を震わせながら、「わかった。ありがとね、今まで。」と小さな声で言った。


友達に戻った、とは表面的な話で。やっぱり俺達の間には少し距離がうまれていた。

同じ授業のときは一言二言話はすることもあるが、その時以外はびっくりするほど接点がなくなった。俺の行動は基本的に変わってないから、光が頑張って俺にあわせてくれていたんだろうな、ということも今さらながら気がついた。


それでもやっぱり同じキャンパスにいるわけで、カフェテリアの日のあたるテーブルでコーヒーを飲みながらパソコンをにらみつけている姿や、図書館で本を積み重ねた陰にかくれて寝ている光がいる。



どうして俺は光の姿をみつけてしまうんだろう。

どうして俺は光の声に気がついてしまうんだろう。

…どうして俺は光の笑顔をこんなにみたいと思うんだろう。



それを恋と呼ぶなら、もう一度はじめてもいいだろうか。



fin

5月・お弁当 ※大学生ybhk→

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