おい待て誰がCoCのルールを現実まで持ってこいと言った【名探偵コナン】

9話 ページ12

……どてっ



そんな声が聞こえたと同時に、私は大きな音を立てて転んでしまった。




痛いし恥ずかしすぎる……………ファンブルって最悪だな。





いてて………と起き上がると、どうやら膝を擦りむいてしまったらしい。





いい歳して恥ずかしいな………確かにHP-1だわ………と思っていると、





「大丈夫ですか？」



と、頭上から声が聞こえた。





『あぁ、はい大丈夫です』




驚いて咄嗟に上を向くと、









そこには童顔トリプルフェイスが心配そうに私を見ていた。








出たぁああああ？！？！？



2日連続で主要キャラにエンカウントとかアリなのかよ！？！？！？






「…………あの、立てますか？」




リアル一時的狂気を発症していると、目の前のトリプルフェイスは困ったように笑う。





『あっ、すみませんこんな道路の真ん前で座り込んでしまって…………お気遣いありがとうございます』





さすがに彼に関わったらいい事なさそうだと、急いで立ち上がる。





「いえいえ。それより、ここであったのも何かのご縁ですし、少しこちらの店に寄っていきませんか？………僕、ここで働いているんです」





立ち上がって直ぐに逃げようとしたのだが、先手を阻まれてしまった。





ナチュラルにナンパすな。顔がいいなちくしょう。





トリプルフェイスが指した先には、“ポアロ”という文字を提げた喫茶店が。






あー、生前コナン好きの友人からそんなような単語を聞いたような聞いてないような…………




『……いえ、遠慮しておきます』



「まあそう言わずに？」





なかなか引き下がってくれないですこの店員さん。





『…………わかりました。客引きがお上手ですね？』



「はは、光栄です」





数十秒間の無言の攻防の末に最終的に私が折れて、店内に入ることにした。







店内に入ると、女性の「いらっしゃいませ！」という可愛らしい声が耳に届く。




思っていたよりもずっといい雰囲気のお店のようだ。





私はボックス席に座り、メニューを開いた。






……………ハムサンドがある。






あんなに渇望していたものと偶然巡り合わせたことに固まっていると、いつの間に目の前に座っていたのかトリプルフェイスが「それ、看板メニューなんです」と照れくさそうに言った。







あざといな！！！ひとつ下さい！！！！！！





………とは言わずいつもの調子で頼むと、嬉しそうに彼は厨房へ向かったのだった。

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