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最寄駅から家までの道のりも、まだ紫耀と手を繋ぎながら…紫耀に手を掴まれながら歩く。
さっきは隣に廉がいたのにな。……無意識に廉のことを思い出してしまう。
廉の隣は余計なことを考えなくていいから居心地がいい。
紫耀「ここがお前んち？」
「そうだよ」
バックから鍵を取り出して、鍵穴に差し込む。
紫耀「一階に住んでんの？洗濯物とか大丈夫？」
「部屋干ししてるから無事」
紫耀「そ。」
「汚いけど、どーぞ。」
"おじゃましまーす"と言いながら靴を脱ぎ、無遠慮にズカズカ人の家に入っていく。
勝手に冷蔵庫を開けるとこれまた勝手に缶コーラを取り出し、ダイニングテーブルにドカッと座った。
もはやそれを咎める気力もなく、私は冷凍庫からストックしてあるパピコを取り出し、ダイニングテーブルを挟み紫耀の前に座った。
「…………で、なんで東京にいんの？」
パピコの封を開けて、チューチュー吸いながら問いかける。
紫耀「なんかスカウトされた。」
「…ハ？なにに？ホスト？」
紫耀「げーのーかい」
げーのーかい げーのーかい……芸能界？！
「いや、ちょっと理解が追いつかない。どういうこと？！」
紫耀「名古屋でなんや声かけられて、事務所所属したら東京に住むとこ用意してくれるって言うから来た。Aに会えるなって思って」
「……は？」
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………私がどんな思いでひとりで東京まで出てきたと思ってるんだ。
私が地元の大学や専門に行く選択肢を捨ててまで一浪し、東京の大学に来たのは、この男から離れるためだったのに。
どうしてこうやって、コイツは昔からいとも簡単私の苦労を砕いていってしまうのだろう。
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作者名：たまごちゃん | 作成日時：2019年10月13日 18時
