猗窩座side・1日目その後 ページ17
頭をひと振りして
精神を落ち着かせる
血を流す彼奴を見て
何故か
心がチクリと痛んだ
人間は脆い
傷から流れた血は直ぐに止まらず
ちぎれた肉は再生せず
身体の一部を失えば、普通に生きることすらままならない
皆平等に年老いて
放っておいても勝手に死ぬ
極限まで高め、作り上げ、鍛え抜いた肉体も
時間とともに失われる
俺にとっては取るに足らない
道端の雑草と同じだ
しかし…
取るに足らない弱者である彼奴が痛みに耐える姿は
何故こんなにも気にかかるのか
何故理不尽に傷つけたのか
いや、違う
いや、違わない
頭が混乱する
心の奥底で何かが疼いている
｢痛いか｣
声をかける
振り向き、俺の顔を見つめる彼奴は複雑な表情をしていた
俺もよく分からない表情をしているのだろう
自分で自分の感情が分からない
クソッ……………！
自分の服を晒の代わりにして彼奴の止血をする
俺の行動に驚いたのか、彼奴は固まったまま動かない
俺も何故止血をしたのか
問われたら答えられない
あぁ、そうだ
｢お前に死なれてはここから出ることすら出来ないからな。仕方なくだ｣
そう
『仕方なく』だ
俺はもっともっと強くなる
強くあらねばならない
あのお方の元にも戻らねばならん
だから
此奴に死なれたら面倒だから『仕方なくだ』
それ以上でもそれ以下でもない
間違っても
特別な感情など
あろうはずもない
一先ず休戦だ
何故だか凄く疲れた
新しい晒で彼奴の手当てをする
ご丁寧に手当てしてやる俺もどうかしているが
大人しく手当てされている此奴もどうかしている
浴衣に着替えた彼奴はウトウトし始めた
自分から食い物を寄越せと言ったくせに
喰わずに寝る気か
｢おい、喰わないのか｣
A｢眠すぎて無理…食べていいよ…｣
｢俺は人間しか喰わん｣
A｢うわ…最低…｣
｢口の減らん奴だ｣
A｢猗窩座もね………｣
猗窩座…………と、
彼奴が自然に俺の名を呼んだ
心臓が大きく跳ねた
なんだ？動揺？名前を呼ばれただけで？
名前……
｢お前、名前は｣
A｢…………御剣…………A…………｣
｢…………A……か｣
別に知りたかった訳じゃない
彼奴が俺の名を知っているのに
俺が彼奴の名を知らないのが
癪だっただけだ
彼奴の名を
呼びたいと思った訳じゃない
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ゆあな(プロフ) - てふてふさん» てふてふさん(^^)コメントありがとうございます！私も無限列車編を見て鬼滅熱が再び燃えております(｀･ω･´)読んでいただけて嬉しいです(*^^*) (2021年9月27日 19時) (
レス) id: c561953436 (このIDを非表示/違反報告)
てふてふ - 完結から時間が経ってからのコメントで申し訳ないですが、無限列車編TV放送で再燃して読ませていただきました！ぽろっと涙が溢れるストーリーと、裏シーンはどきどきが止まらず本当に腰が砕けそうでした……！続編含め、素敵な作品をありがとうございました！ (2021年9月27日 14時) (レス) id: 2bb0e08beb (このIDを非表示/違反報告)
ゆあな(プロフ) - まりも。さん» まりも。さん(*^^*)なんて嬉しいお言葉…涙出るくらい嬉しいです！ありがとうございます(T^T) (2021年2月24日 19時) (レス) id: 728d21b7e2 (このIDを非表示/違反報告)
まりも。(プロフ) - もう何度こちらの作品を読んだことでしょう。大好きが止まりません(作品も猗窩座も) (2021年2月24日 13時) (レス) id: 1dc894a7c2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあな(プロフ) - まゆまゆさん» 嬉しいコメントありがとうございます！私も猗窩座大好きなので、ホントに私の欲望と願望を詰め込みました(笑)現実になってほしい…(o´艸`) (2021年1月27日 12時) (レス) id: 728d21b7e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆあな | 作成日時：2021年1月11日 20時
