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10月。数年前は穏やかな風が気持ちよかったのに、今年のこの時期はまだ暑い。
どこまでも水色な空が綺麗で、教室の窓からじっと眺めていた。
今の時間は7:50。みんなは朝練で、教室には私1人だった。美術部は朝練がないのだ。
廊下からパタパタと足音が聞こえる。そして横引きのドアが動いた。
「お、Aやん!今日は速いな。おはよ〜」
「おはよ。朝起きるの5時やったんさ!たまには速く来るのもええな〜」
簡単な会話をして、準備を済ませる。その内、朝練を終えたクラスメイトが続々と教室へ入る。
「おっはよ〜!」 「はよー」 「ぁよざいまーす」
おのおの、様々な挨拶をする。東中は挨拶大切にする校風なのだ。
挨拶や朝練の愚痴、友達との雑談など、朝から教室はザワザワしている。このザワザワが私は好きだったりする。
すると朝菜も登校してきた。いつもの3人が揃ったところで、教室のザワザワが大きくなった。
「おはよ〜」
凪だ。
「おっ、凪やん。お前朝練サボんなよ!」
「はは、寝坊したったわ」
おい〜と、すかさず周りが囃し立てる。
そう、凪は人気者だ。いつも周りに人がいて、笑い声がひっきりなしに聞こえてくる。
昨日見たテレビがどうだった。ゲームでひどい負け方をした。恋バナ、とか。
凪が恋バナをしていると自分の聴覚が良くなった気がする。
朝から元気だなと思いつつ、思春期ってこんなもんだと言い聞かせて聞き耳を立てる。
「んでさ〜、凪はどうなん?アイツとうまくいっとるん?」
「お前ここで言うなよ…w まあ、いい感じかな。」
「おっおっ?!まじか凪www 俺知らんのやけど、誰なん誰なん!!」
「いや、やからここでは言わんって」
「えぇ〜。ケチやな〜凪は」
愉快そうに笑った凪。クラスの喧騒に紛れて背中越しで聞いていたそれは、私の胸を深く抉った。
やっぱり好きなのは私だけんや。凪はもう、新しい人がいるんや。
ぼんやりする頭の中、そんな事を考えていた。
「…、…! A!」
「っ! ごめん、ぼーっとしとった…w」
「急にどうしたよ …。いきなり無反応て。歳でもとったんか?なー(友人2)」
「アホか、ピッチピチの14やわw」
「いやでもちょっと心配したんやで?音乃の言うこともホンマかもなぁ」
「やめて、本当に歳とりそう」
やっぱり友という存在は大切だと思う。無条件で私を甘やかして笑わせてくれる。しばらくは甘えさせてもらうことになりそうだ。
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作者名:おつる | 作成日時:2022年12月13日 22時