作者がただただ描きたい話を短編で書きなぐるだけ

透明な檻 ページ16

朝だ。眩しい光が差し込まれる。



「空が…きれいだな…。」



窓から見る空はとても美しい。




私は今、塔に閉じ込められている。


だれか私以外にいるわけでもない。犯人と一緒にいるわけでもない。



私１人きりで、この塔の中に閉じ込められているのだ。




事の経緯を話すと、



私は、ある王国のお姫様。お父様もお母様も優しくて、召使いの方たちもとてもお優しくて、



ほぼ毎日開かれるパーティーでは、市民の皆様も一緒になって、ダンスをして、楽器を吹いて、



毎日毎日楽しかった。




王族、市民関係なく、みなさんがとても仲が良かった。平和だった。



ある日、魔の手が差し込んできた。それは魔女だった。



『私は、魔女だ。おい、お嬢ちゃん。お前はどうして周りからちやほやされてるのかい？


たくさんの優しい言葉と温かい贈り物をもらって、毎日充実しているであろう？


私は、それが憎くて憎くてしょうがない！！！



それも今日までさ！私はこの子を、監 禁する！お前らから、こいつの記憶を奪い取って、


嬢ちゃんには、孤独の中生きてもらう！』



突然現れた魔女は、そういって、私の手を掴んだかと思えば、とてつもない風が吹いて、


次、目を開けたらこの塔の中にいた。




そして、それに気づいた瞬間、魔女のいた方を見たが誰もいない。




あ、窓から、私の住んでいた王国が見える…、気づいて、お願い…






そんなお願いも届くはずがない。


魔女のいったとおり、お姫様の記憶は魔女にしか残っていない。


国はいつもどおり、楽しそうにしている街の明かりが見える。





そこで、初めて私は実感したんだ。本物の孤独になったのだ、と。





ここからは推測のお話になるのだけれど、


私は、この塔にやってきてからお腹がどうも空かない。喉も渇かない。


魔女は私が人と楽しそうに、ちやほやしている姿が憎たらしいと言っていた。



だから多分、私が人と接触しないように、そういう魔法をかけているのだろうと思っている。





私は、この塔に来てから、孤独に耐えて生きている。


誰もいない、話し相手もいない。ただ、窓から見える自国の楽しそうな街の明かりを眺めながら、



お父様やお母様、召使いさん、市民の方々の楽しそうな声と、ダンスと、歌声と、


優しい言葉を思い出しては、泣いて疲れて寝ている。





寂しいな、つらいな、悲しいな、また、一緒にお歌を歌いたいな、




誰か、気付いて…っ、思い出して…。

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