１００と１０と２ ページ21
〈三人称視点〉
セイガこと三空千悠について、オールマイトが知っていることは少ない。
国立雄英高等学校ヒーロー科１年Ａ組の生徒で、プロヒーロー。
ぼんち揚が好きで、会うと必ずと言っていいほど勧めてくる。
制服のブレザーの代わりに、黒色のパーカーを着ている。
戦闘能力は高いらしいが、戦うところを見たことがないので判断がつかない。
そして…、未来が視える、らしい。
自分の元
(…三空少女に、私の未来はどう見えているのだろうか)
あの時、病院の廊下でナイトアイが言った通りの、オールマイトの凄惨な死の光景が、あの子には視えているのだろうか。
だとしたら、可哀想だ。
「オールマイトさん、暇なら指名を纏めるの手伝って下さい」
「ああ、相澤くん」
声をかけられて顔を上げると、そこにはオールマイトが副担任を務めるクラスの担任教師が、いつも通りの分かりにくい無表情で立っていた。
…そういえば、確か彼は、あの子と仲が良かったはずだ。
パソコンに送られたフォルダを開きながら、何気無く他意なく訊ねる。
「ねえ相澤くん、三空少女って…」
「…�犹斡�少女�瓠�」
オールマイトが口にした呼称を、不思議そうにと評するにはやや不機嫌さが滲んだ声色で、相澤がおうむ返しにした。
「オールマイトさん、前はセイガのこと、普通にヒーロー名で呼んでませんでしたっけ」
「ああ、呼んでいたね」
事実なので肯定する。
「じゃ、どうして今は�犹斡�少女�瓩覆鵑任后�」
試すような視線に気づいたのか気づいていないのか、隠し事は多いが嘘は吐かないオールマイトは素直に応える。
脳裏に蘇るのは、これまでの数ヶ月に見た�爐△了勠瓩了僂澄�
にこにことお気に入りの菓子を齧る姿。
ミッドナイトに髪を梳かれて、ちょっと嬉しそうに身じろぎする姿。
ねえねえイレイザーさん！ と楽しそうに相澤について回って、取り止めのない話をする姿。
大人をからかい怒らせ、きゃーっ！ と笑いながらグラウンドを駆け回る姿。
どこをどう切り取っても、オールマイトの視点ではあの人ではなくあの子で、女の人ではなく女の子だった。
だからオールマイトは、何の悪意もなしにこう言った。
「だって、三空少女は少女だろう？ まだ全然子供っぽいし…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 161人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
零奈 - 紺青さん» 嗚呼、環くんが期待通りの可愛さ……。流石です！ (2019年7月29日 22時) (
レス) id: ea99f94738 (このIDを非表示/違反報告)
紺青 - 零奈さん» 待たせてしまってすみません！ 楽しみにしててくれてありがとうございます！ (2019年7月29日 12時) (レス) id: 2583f0b797 (このIDを非表示/違反報告)
零奈 - 環くん！ 環くんが！ そろそろ出るんですね！！ 今から楽しみです！ (2019年7月28日 22時) (レス) id: ea99f94738 (このIDを非表示/違反報告)
零奈 - 紺青さん» 是非是非、座右の銘にどうぞ！ (2019年7月11日 22時) (レス) id: ea99f94738 (このIDを非表示/違反報告)
紺青 - 零奈さん» その言葉を千悠が聞いたら、「それ座右の銘にしようかな…」って真剣に悩むと思います（笑） (2019年7月10日 16時) (レス) id: 2583f0b797 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紺青 | 作成日時：2019年6月19日 18時
