90と3 ページ1
〈三空千悠視点〉
どうやら兄さんを怒らせてしまったようなので、慎みやら礼儀やらに関するありがた〜いお説教を拝聴する前に、私はそそくさと部屋から逃げ出した。
兄さんと寧人と施設の家族以外にあそこまで無防備に振舞ったりはしないのだけど、兄さんはそれでも納得いかないらしい。
そんなお堅いキャラだっけ? と疑問に思うものの、兄さんが私に対してだけ口煩い小姑化するのはそこまで珍しいことではないので、スルーすることにする。
それにしても、久しぶりに兄さんと会った。電話やメールは毎日のようにしているけど、直接会うのは二ヶ月半…、いや、三ヶ月振りだ。今日もイケメンだった。いやあ、やっぱり顔が良い人ってのはいいね! 目の保養!
そういう視点で考えると、雄英というのは様々な種類の美形が集まった最高の職場なのでは? なんて馬鹿らしいことを考える。どうやら兄さんと会って話して、相当に気が緩んでいるらしい。
しかし私の思考というのは並立した二つがあるので、そんなお馬鹿さんな思考に染まったのも片側半分だけだ。ええ、ええ、きちんともう一つの方で爆弾魔の足音も息遣いも捉えていますよ、ええ。
このホテルを爆破しようとしている職業的爆弾魔さん、今日が年貢の納め時ですよ〜?
折角の兄さんのお休みを潰すわけにもいかないので、隠密かつ迅速に事件を解決したい。
ついでにここは政府官僚御用達のホテルなので、つまりはちょっとした裏事情なども関係する場所なわけでして、そこらへんを上手く使って国に恩を売れたら万々歳である。
更に言うと、ここでは裏も表もなく情報が交換される。それはもうポロポロと国家機密レベルの情報が落ちている。情報は武器だ。武器が無料で手に入る。素敵な場所だ。
おっと、いかにも怪しい男の後ろ姿が見えた。じっと視て確認する。うん、爆弾魔で間違いないな。
大事そうに抱えている紙袋からは、時限式タイマーが時を刻む音がしっかりと聞こえる。あ、解除されかけた場合用に遠隔操作まであるじゃんか。
爆弾魔が紙袋を置いてその場を離れたことを確認して、無線妨害器を使って遠隔操作を無効化し、爆弾をさくっと解除。
え? 爆発物処理班を呼べばいいだろ、って? ここ、警察呼べないんだよ。政治的圧力のアレコレで。
最後の仕上げに爆弾魔を確保して警察に送り届けた。ここからは私の仕事じゃない。
さーて、兄さんと一緒に、予約しておいたレストランに行こう。
161人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
零奈 - 紺青さん» 嗚呼、環くんが期待通りの可愛さ……。流石です! (2019年7月29日 22時) (レス) id: ea99f94738 (このIDを非表示/違反報告)
紺青 - 零奈さん» 待たせてしまってすみません! 楽しみにしててくれてありがとうございます! (2019年7月29日 12時) (レス) id: 2583f0b797 (このIDを非表示/違反報告)
零奈 - 環くん! 環くんが! そろそろ出るんですね!! 今から楽しみです! (2019年7月28日 22時) (レス) id: ea99f94738 (このIDを非表示/違反報告)
零奈 - 紺青さん» 是非是非、座右の銘にどうぞ! (2019年7月11日 22時) (レス) id: ea99f94738 (このIDを非表示/違反報告)
紺青 - 零奈さん» その言葉を千悠が聞いたら、「それ座右の銘にしようかな…」って真剣に悩むと思います(笑) (2019年7月10日 16時) (レス) id: 2583f0b797 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紺青 | 作成日時:2019年6月19日 18時