【QK】HAPPYENDを体現せよ【izw】

Thirteen。 ページ15

嫌な予感はしていた。

ご飯を食べに行こうと言いながらスーパーで大量にお酒やお菓子を買い込んでいたし、そう言えば田村さんがオフィスに寄った帰りだとか言いながらここら辺を歩いていることもあった。

そうだ。伊沢が引っ越しのエリアを決める時にオフィスがどうのとか言っていた。

そうだ。とどのつまり。


「え、なんで……」

「あ、伊沢さん。お久しぶりです」


Aが、と名前を呼ばれる前に先手を打つ。

食事に誘われた、その行先は何故か彼らのオフィスだった。
そりゃ、河村さんも戸惑っていたわけだ。

オフィスに関係ない人間が入るだなんて言語道断だろう。

前の撮影は貸スタジオでしていたせいで、オフィスの場所が分からなかったこともその原因の一つだ。


「あれ？ 高木さんじゃん！」

「あ、須貝さんもお久しぶりです〜。山本さんも、お久しぶりです」

「お久しぶりです」


ばったりあったから連れてきちゃった！ なんて言っている福良さんに呆れ顔の河村さん。
手が足りないからと持たされたお酒の入ったビニールは、早々にお玉を持った伊沢に奪われた。


「今日はね、伊沢の料理なんだよ」

「へ、へぇ〜。そうなんですね」


その伊沢の料理とやら、私の家にあるのですが。
なんならここ最近のご飯は全部その伊沢の料理とやらなんですが。

メンバーさんは、よほど珍しいのかニコニコとしながら教えてくれる。

と言うより、社長にご飯作らせるとかこの会社どうなってるんだ？
あれ、伊沢がCEOってガセ情報だった？


「伊沢さんがクイズに負けたんで、その罰ゲームで料理しているんですよ」


あ、どうも。川上です。と話しかけて来てくれたのは最近伊沢から編集長の肩書きを受け継いだ川上さんだった。


「た、高木です。そうなんですね」

「まあ、食べれないもんは出てこない…….とは思うんで、安心、して下さい」


目を逸らしながら言葉を詰まらせる川上さんに苦笑いを零す。

あなた、料理出来ない認定されてますけど一体何したんですか。
あ、バレンタイン企画のやつかな？

手際はちゃんとしてたし、混ぜるもんがやばかっただけなのにねえ、アレ。


「そう言えば高木さんも東大生なんでしょ？」

「そうですね、一応」

「え!? そうなんですか！」

「まー、はい」


須貝さんが気を利かせてか発した言葉に、他の皆さんも食いついてくる。

絶対に田村さんだ。犯人は田村さん以外の誰でもないでしょ。
個人情報漏洩で訴えたい。

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