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Nine。 ページ11

「高木さん! 帰りですか? 良かったら、お食事でもどうです?」


定時も過ぎた。
あの上司の仕事の采配じゃ定時上がりなんて出来る訳もなく、無駄なサービス残業をしてやっとこさ仕事を終わらせることが出来た。

さて、電車に乗りながらQuizKnockの動画でも見ようか、なんて考えて会社を出たところで、後ろから声をかけられる。


「あー、えっと……」


振り返るとそこに居たのは営業部の期待のエース。

未だに名前も知らない彼は笑顔で私に話しかけてくる。


「僕、いい店知ってるんですよ。フレンチは好きですか?」

「あー、いや」


どちらかと言えば和食派ですけどね、私。

スマホに伊沢から何の連絡も入っていなかったことを思い出す。
しかし、弁当を作っていたということは、どうせしばらく分の料理は作り置きしているだろう。


「すみません。これから予定がありますので」

「あ、やっぱり彼氏さんだ!」

「違いますよ。それでは、」

「なら明日! 明日はどうですか?」

「いや、あの……」


明日が無理ならいつ空いていますか? なんて、営業部のコミュニケーション能力には本当に驚きを隠せない。

早く帰らせろ、なんて伊沢相手なら容赦なく言えるのになあ。


「それじゃあ、来週なら空いています……」

「分かりました! 来週ですね」


それでは、と去っていく彼に溜息を落とす。

あまりにもの執拗さに折れてしまった。

すごく来週が来て欲しくない。
いやそれ以前に、あの人の名前知らないんだけど……。

Ten。→←Eight。



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緑の白猫 - お話が綺麗に終わり、伏線回収まで綺麗で、読み終えた時に、清々しさと良い小説を読んだ時特有の多幸感に満たされました。良い作品をありがとうございました。 (2021年4月2日 16時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
たかせ(プロフ) - くぅかなさん» キュンキュンだなんて嬉しい限りです!最後までお読みいただきありがとうございました! (2020年4月6日 14時) (レス) id: 66eef8f813 (このIDを非表示/違反報告)
くぅかな - 一気読みさせて頂きました!クライマックスはもう…熱が出たんじゃないかっていうくらいキュンキュンしてました笑 (2020年4月6日 14時) (レス) id: 8242ba3eb6 (このIDを非表示/違反報告)
たかせ(プロフ) - 藍知さん» こちらこそ、最後まで読んでくださりありがとうございました! (2020年4月6日 11時) (レス) id: 66eef8f813 (このIDを非表示/違反報告)
藍知(プロフ) - 一気に読んでしまいました。素敵なお話をありがとうございます。 (2020年4月6日 5時) (レス) id: 327f8bffcc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たかせ | 作成日時:2020年4月4日 12時

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