球団職員に花束を。

□.45 背中を押そう (side中島) ページ46

□.side 中島卓也

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9「そーいや、最近どうしたん？」



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遥輝とAちゃん
前みたいに話してなくない？

さりげなく、さりげなく
遥輝に聞いてみたら、らしくなく
ピクっと肩を震わせて
「あぁ…」と髪をカリカリかいて苦笑いした


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遥輝とキスしたって俺に相談してきた時
Aちゃん、言ってたんだよなぁ
「遥輝さんとお話できないよ…」って
それは遥輝も同じらしく

他球団のファンからまでも大人気の2人の絡み
最近見てない！って嘆く声、多数だったり


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7「や、別に何もないっすよ」
9「何もなかったらあんなぎこちなくならんって」
7「…なんで分かったんすか」
9「みんな知っとるよ」


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俺からも、皆からも
2人についてはなんにも言わなかったけど
時が経っても、2人の距離感は変わんなくて


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9「話したい、だろ」
7「…」
9「見ればわかるばい」
7「そりゃ、話したいっすけど」
9「あの子あぁ見えてシャイだし」


遥輝が動くしかないんじゃなか？


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遥輝はモテる。
もう一回言う。むっちゃモテる。
彼女なんて作ろうと思えば作れるはずなのに
そういうのは…って感じらしく
度々女の子と遊んでいたりしてた

でも、今年の慎吾との自主トレで
出会った女の子が気になるようになったらしく
「またあの子に会う機会があるかもしれん」って
ぱたりと女遊びをやめた

それが、Aちゃん
あの子がジャイアンツからファイターズに来た時
1番喜んでたのは遥輝だったと思う

…こんな遥輝、初めて見たばい
初恋を経験中の中学生みたいに
純粋な恋をする遥輝


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(…凄いわ、Aちゃん)



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あの遥輝をピュアな少年みたいに変えて
…まあ、遥輝が自分の思いに自覚があるかは
分かんない、けどな


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9「…なぁ、遥輝」
7「はい、」
9「Aちゃんさ」
7「はい、」
9「…俺、狙っちゃあかん？」


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7「え、マジすか」
9「冗談冗談。や、本当に冗談だから」


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いたずらに言って見せれば
ガタン、っていきなり立ち上がって
冷や汗を拭う遥輝


9(いや、わかり易すぎるって)


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7「冗談、すか？」
9「うん」
7「ほんとっすか？」
9「ほんとっす」


だからそんな心配そうな目で見るの、やめなさい。


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9「…さっきも言ったけどさ」
7「…はい」
9「やっぱ、遥輝次第じゃなか？」
7「…はい」
9「1番わかってるはずだろ？」


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少し頼りなげな遥輝の背中を叩けば
遥輝は心做しか力を込めて、頷いた


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9(頑張れ、俺の分まで)

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