21恋 ページ22
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予感
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「誠知!誠知!」
「?おう、」
「さっきはありがと…助けてくれて」
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試合終了後、ロッカールームから出てきた誠知を呼び止めて頭を下げた
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さっきの事件…芹沢さんに火傷させられそうになった時、誠知は私の所に駆けつけてくれた
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芹沢さんは…唇を噛みながら
泣きそうな顔をして去っていったけれど
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「…小さい時は、私が誠知を守ってたのに」
「何で蒸し返すんだよ」
「さっき、怖かったけど…嬉しかったよ
誠知が来てくれて」
「まぁ、通りかかったし」
「…嘘つき」
「あ?」
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驚いて1歩後ろに引いた誠知の顔を
びしっと指さした
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「誠知、汗だくだったもん」
「あぁ…」
「練習終わりに、走ってきてくれたんだよね」
「…Aの顔、曇ってたから
おかしいなって思ったんだけど
…芹沢さんがあんなことするとは思わなかった」
「でも、やっぱり気づいてきてくれたんじゃん
さすが誠知。ありがとね」
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私が笑って改めてお礼を言えば
誠知は視線を逸らして…また、私を見て
どういたしましてって小さく呟いた
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「でも…ごめんね、迷惑かけて」
「いや。お前こそ、ずっと黙ってたろ
芹沢さんに言い寄られてたこと」
「…うん」
「俺に迷惑かけまいと、だろ」
「……うん」
「そーいうとこ、昔から変わんないな」
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ばーか、って大きな手で頭を撫でられた
整えた髪が、くしゃりと乱れる
うっすら微笑んだ誠知と目が合って
安心感が押し寄せて…頬の筋肉が緩んだ
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「A言っただろ、悩んでるなら言えって」
「まぁね」
「それ。そっくりそのままAに返す」
「え?」
「お前こそ、隠すの禁止
俺の事はいいから、何かあったら言えよ」
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約束、ってポーカーフェイスのまま
誠知が私に小指を出してきたから
なんか、らしくなくて
私は笑いながら手を差し出した
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「中学生の時…私が男子にからかわれてた時も、誠知助けてくれたよね」
「…そんなことあったな」
「誠知はいつも、私を助けてくれたよね
本当に、感謝してる」
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「…あのさ、A」
「ん、何?」
「ずっと前から、言いたかったんだけど」
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真剣な表情の誠知が私の腕を掴んだのと
彼が…あの人が私に声をかけたのは
ほとんど、同時だった
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「___Aちゃん」
「…巨、くん」
「ばやし、俺…Aちゃんと話があるんだけど」
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いい?…って、歩み寄る巨くん
誠知は私の腕を、はらりと離した
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凛*.(プロフ) - リンさん» リンさん(´∀`)ついにです...!ここまでお付き合いくださってありがとうございます! (2018年11月11日 23時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
リン(プロフ) - つ…遂に!! (2018年11月11日 23時) (レス) id: 03ef5bc57a (このIDを非表示/違反報告)
凛*.(プロフ) - 澪さん» 澪さん◎ありがとうございます( ; ; )嬉しいコメントに私もキュンキュンしちゃいました(´▽`*)応援ありがとうございます! (2018年11月10日 14時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - 突然のコメント失礼します。殿堂入りおめでとうございます!とてもキュンキュンしながら読ませていただいてます。これからも更新頑張って下さい! (2018年11月10日 12時) (レス) id: 10f685532e (このIDを非表示/違反報告)
凛*.(プロフ) - リンさん» リンさん◎ありがとうございます!是非2人の行く末を見守ってください...! (2018年11月6日 7時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛* | 作者ホームページ:https://twitter.com/j2hi_ve
作成日時:2018年9月18日 1時