ひとときのあいを【短編集】

□.石川慎吾 ﾘｸｴｽﾄ(Twitter) ページ41

.



ルミエールの、ぶどうの香り



.


(甘い、甘え)


.


「えへへ」

「…おーい？」

「えへへ〜」

「おーい、Aー」

「んふ、酔っちゃった〜」


.


現在、慎吾くんと"シーズンお疲れ様会"の名目で
お酒を飲んでいる訳なんですが


.


シーズンが無事に終わったってことで
肩の力が抜けたってのもあるんだろうな
気分を昂らせる、おしゃれなお酒を
立て続けに飲んだ私はもうベロベロ


.


「はいはい、酔っとんなぁ」

「んむ、何よそのザ・冷静な態度〜」

「初っ端から飛ばしすぎやで」

「いーじゃん、お疲れ様会なんだもーん」


.


ねー？ってグラスを傾けて、笑いながら
慎吾くんの横顔を覗いて見せれば
慎吾くんは唇を尖らせて、私のおでこを
つん、と指でつついた


.


んー…少し、不機嫌そうな顔？


.


「やぁだ、慎吾くんどうしたの」

「ちょっとは考えぇや」

「んー、何をー？」

「俺の気持ちや、アホ」


.


容器に入っていた残りの焼酎を
全部飲み干して言った慎吾くんは
わしゃわしゃ、整っていた黒髪を搔き上げる


.


「介抱すんの誰だと思ってんねん」

「…慎吾くん？」

「俺まで酔ったらどうすんねん」

「えー？いいよ、だってここ家じゃん
思う存分飲んじゃえばいいのに、ね？」


.


テレビから流れる番組が、切り替わった
慎吾くんが…慎吾くんの整った顔が、近づく
至近距離まで来て、私の視界を支配した彼に
ふわり、触れるだけのキスをされた


.


「う…わぁ、不意打ちだ」

「酔ったら俺、お前のこと本気で襲う自信しかないんやけど」

「…ん、いいですよ？」

「や、待ったいいですよやないやろ」

「って言うか、酔ってなくても襲っていいよ？」

「……あのなぁ……」


.


そんなこと言われたら、止められる訳ないやろ


.


「アホや」

「ふふ、」

「どうなっても知らんで」

「いいもーん、ほらお兄さん」

「…その口、塞いだるわ」


.


襟から引き寄せられて、今日２回目のキスを交わす
…というか、本当に言葉通りに
慎吾くんに唇を塞がれる


.


身体を寄せ合いながら、ベッドに倒れ込めば
淡いぶどうの香りが、鼻をかすめる


.



(慎吾くん、好きだぁ)

(…次は絶対、酔ってない時に言わせたる)



.


甘い甘えと、ルミエール


.


確かに聞こえる慎吾くんの吐息と、かかる前髪
昂ったのは、きっとお酒のせいなんかじゃない


.









Twitter → @j2hi_ve
お気軽にフォロリクください◎

.

□.松本剛 ﾘｸｴｽﾄ(Twitter)→←□.柳田悠岐 ﾘｸｴｽﾄ(Twitter)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す