□. 松本剛 リクエスト ページ15
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例えばの話だけど
もし、あなたと出会っていなかったら?
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「私、野球に興味なかったかもしれない」
「突然どうしたの」
ふはっと笑って、彼はテーブルの上にふたつのマグカップを置いた。
コーヒーが入ったそれ、剛くんのは青色、私のは桃色。
色違いで勝った、お揃いの品物。
剛くんと出会って、付き合い始めて…3年くらい経つかな。
同棲しているふたりの部屋。
一緒に選んだ壁紙、一緒に見るテレビ、一緒に眠るベッド…それに、このマグカップ。
幸せが具視化された様な物が部屋中に溢れていて、ふとした時によくにやけてしまう。
「A、元々スポーツに興味無いもんね」
「うん、テレビはバラエティくらいしか見てなかったし」
二人がけの白いソファー。
右側に私、左側に剛くんが座る。
剛くんは人気のバラエティ番組を映したテレビの液晶を見ながら、コーヒーを一口飲んだ。
私もそっと剛くんの広い肩に寄り添って、まねをするようにコーヒーを口に含む。
・
でも、本当にそうだ。
もし、剛くんに出会わないままの今があれば、私はどうなっていたんだろう。
必死に白球を追いかける選手の輝き、球場の一体感、ホームランを打った時の喜び…
それに、かっこいい剛くんの姿も知らないでいたんだろうな。
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「…なんか、私だけ影響されすぎてずるい」
少し唇を尖らせてみた。
だって、確かにそうで。
どこからどう見ても、剛くんは出会った時のままの剛くんで。
一緒に暮らし始めても、特にこれといった変化が見られたわけではない。
私が軽く剛くんのほっぺを抓ったら、
「え、A、僕が何一つ変わってないって思ってる?」
彼は少し赤くなった頬を撫でて、目を丸くした。
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「僕の好きな音楽も、見たいなって思うTV番組も、食べたくなる物も、行きたいお店も。
全部が全部、A基準になってるんだけど」
・
一緒にい過ぎて…気づいてなかった?
ついに言っちゃったなあって顔で、剛くんははにかんだ。
柔らかく微笑んだその瞳と視線がぶつかった瞬間、なんだか急に恥ずかしくなって。
「……今、気づいた」
赤くなったであろう顔を隠しながら、小さく呟いた。
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(剛くんが見たいって言ってたあの映画も?)
(うん。前まで恋愛映画は好きじゃなかったけど。
Aと一緒なら、見たいって思ったんだ)
(……そんなに私を照れさせないで)
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リクエストありがとうございました*
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凛(プロフ) - ロケットさん» ロケットさん´`*お返事遅くなって申し訳ないです(T_T)この作品もいつか更新できたらと思いますのでその時はよろしくお願いします! (2019年9月16日 16時) (レス) id: 9e717ea10a (このIDを非表示/違反報告)
ロケット - ( ゚∀゚)・∵. グハッ!!最高でした!他の作品の投稿頑張ってください! (2019年7月25日 21時) (レス) id: 90ba40770e (このIDを非表示/違反報告)
凛*.(プロフ) - 現在リクエストは受け付けておりません( ; ; )申し訳ないです...! (2018年10月13日 0時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
みるく。 - この小説大好きです!リクエストなのですが、ファイターズ中島選手で、甘い系でお願いします! (2018年9月29日 14時) (レス) id: 8cf90193ed (このIDを非表示/違反報告)
瞳(プロフ) - こんばんは!カープの鈴木選手が彼女にプロポーズする話をお願いします!事前にタナキクマルに相談し、プロポーズ時には影で見守っている部分も入れて下されば嬉しいです! (2018年9月22日 20時) (レス) id: 10d7566248 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛* | 作者ホームページ:https://twitter.com/j2hi_ve
作成日時:2018年1月21日 16時