∬006 ページ7
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《19世紀! ――それまで上流階級が独占していた『学校』は、産業革命に伴い、上昇志向を持った中産階級にも開放されていた!》
教壇では、男性教師が生徒の出席を取っている。
「なあディオ! 君、ジョジョと一緒に女の子と学校に来なかったか?」
「ああ、それは――」
『パンッ、パァンッ』
教師が両手を叩いた。
「それでは転入生を紹介する! Aくん、入って来なさい」
「はい」
燃えるように紅いスカート――Aは男子全員の視線を釘付けにした。
教室中がざわめく。
「みんな静かにッッ! Aくん、自己紹介をしてくれたまえ」
「はい先生……」
よそ行きの微笑みを浮かべる。
「Enchantée.
(はじめまして)
Je m'appelle A・Redford.
(A・レッドフォードです)
L'abilità speciale è l'equitazione,
Mi piace la filosofia e la letteratura straniera.
(特技は乗馬で、好きなものは哲学と外国の文学です)
Es ist eine kurze Weile,auf gute Zusammenarbeit .
(短い間ですが、みなさんよろしくお願いします)」
Aはスカートの裾を持ち上げると、軽く膝を曲げてお辞儀した。
みんなは口を開けてポカーンとしている。
女子生徒の中には見惚れる者もいた。
「ハッハッハ! これは驚いた。
その歳でフランス語、イタリア語、ドイツ語を流暢に話せるなんてすごいな。
うむ、完璧なレディだ。
男子諸君! 彼女をエスコートできるように頑張るのだぞ!
……さて、Aくん。君の席はそこだよ」
「はい先生」
胸を張って歩く彼女を、好奇の目が追いかける。
Aはディオの斜め前の席に座った。
ツンと背筋を伸ばし、澄ませた顔をしている。
「おいディオ……!」
後ろの席の男子がディオの耳元へ近づく。
「今朝の女の子じゃあないかッ! (しかもよく見るとバツグンに可愛いぞ)
……なァ、あとでぼくにも紹介してくれよ」
ディオは男子のほうを振り返り、フッと笑った。
「ああ。でも勝手に手を出すなよ?
彼女はレッドフォード家の大切な令嬢なんだからな」
そう言うと、ディオは前を向き直した。
「…………」
顔に影が差し、唇は舌打ちの形をとる。
――(フン! 下心丸見えで虫唾が走るんだよ、マヌケがァ!
おまえ程度のカスでは資産家の娘と釣り合わない……)
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推しの命は私の命 - ジョナサン空気( ゚இωஇ゚) (10月15日 15時) (レス) @page43 id: 0046fb2d1c (このIDを非表示/違反報告)
油電(プロフ) - 黒猫歳花さん» コメありがとうございます…!そう言っていただけて嬉しいです(*´ω`)これからも、胸に刺さるキュンキュンを目指しながらお送りしますッ (2018年5月4日 23時) (レス) id: 95fd139937 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫歳花(プロフ) - はじめまして、この作品を読んでいるとディオにキュンとしっぱなしで楽しいです!これからも頑張ってください(*^▽^*) (2018年5月4日 20時) (レス) id: ae43b29bb1 (このIDを非表示/違反報告)
油電(プロフ) - おバカな傀夢さん» ありがとうございます笑 ディオのキャラが崩壊していないか不安でもあります(汗)お話も中盤にさしかかって参りました…! 引き続きよろしくお願いします(*^-^*) (2018年5月4日 12時) (レス) id: 95fd139937 (このIDを非表示/違反報告)
おバカな傀夢(プロフ) - おおっ!?やっと…やっと気が付いたかッ!ディオ〜!!大好きだ〜!!油電様も大好きです笑 (2018年5月3日 22時) (レス) id: 5ff30031ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:油電 | 作成日時:2018年4月1日 21時