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∬032 ページ34

《ジョースター邸 ロビー》


蓄音機からワルツが流れている。


「ディオって踊りも上手なのね。ジョジョはよく私の足を踏むのよ」


「おいおい、二人でいるときくらい彼のことは忘れろよ」


「ふふっ、そうね」


くる、くる、くる、と花びらが回転するようにまわる。


手を取りあいながら、貴公子とプリンセスのように。




階段からは、小さなため息がひとつ。


「学校から帰ってきた途端、ああだもんな」


なんだか、Aが遠くへ行ってしまったようだ。


そのまま――ぼくの知らないうちに――君たちは大人になっていくのかな。


ジョナサンはうつむき加減に、手すりから離れ、自室へと帰っていった。




「ねえ、ディオ」


「なんだい」


――ジョージおじさまは来月まで仕事のため、家にはいない。


「今夜、誰にも見つからず私の部屋にきて。カギは開けとくから」


音に身を任せながら言う。


「いいのか? レディが男を部屋にあげて」


「だって一秒でも長くいたいんですもの。いっしょに夜更かししましょう」


ディオは「ふーん」と無愛想なあいづち。


それから、Aの無防備な耳に近づくと、砂糖がまじった声で。


「今夜は満月だ。ぼくが狼じゃないという保証はないんだからな」


どきり。


ほんとに、彼はときどき色っぽい。


「それじゃ、確かめてみるわ。部屋には弓矢もあるし」


「冗談だよ。ほんとに射るなよな」


「ふふっ、わかってるって」


音楽に合わせてステップを踏むと、ふたりの心も通じあってる気がした。


きっと素敵な夜になる。


何か、二人だけのひみつを作れたらいいな。





.

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推しの命は私の命 - ジョナサン空気( ゚இωஇ゚) (10月15日 15時) (レス) @page43 id: 0046fb2d1c (このIDを非表示/違反報告)
油電(プロフ) - 黒猫歳花さん» コメありがとうございます…!そう言っていただけて嬉しいです(*´ω`)これからも、胸に刺さるキュンキュンを目指しながらお送りしますッ (2018年5月4日 23時) (レス) id: 95fd139937 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫歳花(プロフ) - はじめまして、この作品を読んでいるとディオにキュンとしっぱなしで楽しいです!これからも頑張ってください(*^▽^*) (2018年5月4日 20時) (レス) id: ae43b29bb1 (このIDを非表示/違反報告)
油電(プロフ) - おバカな傀夢さん» ありがとうございます笑 ディオのキャラが崩壊していないか不安でもあります(汗)お話も中盤にさしかかって参りました…! 引き続きよろしくお願いします(*^-^*) (2018年5月4日 12時) (レス) id: 95fd139937 (このIDを非表示/違反報告)
おバカな傀夢(プロフ) - おおっ!?やっと…やっと気が付いたかッ!ディオ〜!!大好きだ〜!!油電様も大好きです笑 (2018年5月3日 22時) (レス) id: 5ff30031ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:油電 | 作成日時:2018年4月1日 21時

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